ラックライフの「Naru」は「ツルネ ―風舞高校弓道部―」のOP曲!
ラックライフの「Naru」は、冒頭のフレーズから疾走感がある曲。
アニメ「ツルネ ―風舞高校弓道部―」のオープニングテーマとして使われています。
「Naru」を聴くと、まるで矢が刺さったかのようにフレーズが耳や胸に残るのではないでしょうか。
歌詞やタイトルの意味を考えると、この曲がアニメの世界観にぴったりだということがわかります。
今回はそんな「Naru」の歌詞やタイトルが表現しているものについて、一緒に考えていきましょう!
「ツルネ ―風舞高校弓道部―」とは?
「Naru」を語るうえで欠かせない作品がアニメ「ツルネ ―風舞高校弓道部―」。
弓道に打ち込む高校生たちの青春を描いた作品です。
弓道がテーマ、ということで作中には弓道に関する用語がたくさん出てきます。
私は弓道をしたことがないので最初は用語の意味が理解できなかったのですが、アニメを見て意味を覚えました。
そんな用語のひとつに「弦音(つるね)」があります。
「弦音」というのは、矢を放つ時に聞こえる「カーン」という弦の音のこと。
主人公の鳴宮湊(なるみや みなと)はこの「弦音」に魅せられて弓道を始めます。
順調に腕をあげていく湊ですが、ある日を境に弓を射ることを避けるようになりました。
高校生になり、弓道部からの勧誘を断った湊。
しかし湊は再び心に響く「弦音」を耳にし、弓道にもう一度向き合うようになるのです。
このように、「ツルネ ―風舞高校弓道部―」では「音」が大切な要素となっています。
矢のように放たれる音
「ツルネ ―風舞高校弓道部―」と同じく、「Naru」でも「音」が重要な役割を果たします。
アニメの世界観にもぴったりな「Naru」の歌詞を見ていきましょう。
弓道を感じさせる歌詞が胸に刺さる!
放て胸の深くまで
刺さって抜けない音になれ
いつだって信じて放て
僕である為
出典: Naru/作詞:PON 作曲:PON
1行目と2行目の歌詞を見てみると、弓道を思わせる言葉があることに気づくでしょう。
「放つ」や「刺さる」といった言葉からは、矢が放たれ、的に刺さる様子が伝わってきます。
しかし「Naru」で放つのは、矢ではなく「音」。的はきっと、自分や誰かの心でしょう。
背筋を伸ばしてまっすぐに心を見つめ、「音」を射る。
弓道の厳かな雰囲気と、風を切って「音」が放たれるスピード感が歌詞に表れています。
「音」を射る理由は4行目の歌詞に書かれています。
自分のアイデンティティのために「音」を放つ。
自分の弓道がわからないことに悩み、それでも弓道から離れられない湊の心を表現しているように思えます。
不安に負けずに音を鳴らせ
雨上がり水たまりを飛び越えて
映る世界を覗き込んだ
揺れる空に見とれた
気付けば目に見えない何かに
押し潰されそうになるけれど
振り返ると聞こえた
胸を張れ背中押す声
出典: Naru/作詞:PON 作曲:PON
1行目から3行目では、日常的な風景が描かれます。
こうした日常描写は、ラックライフの魅力のひとつでしょう。
ふと水たまりをのぞき込むと、そこには頭上にある空が映っています。
手が届きそうに見えますが、それは本物の空ではありません。
理想と現実が同居している描写に、湊の葛藤が感じ取れるのではないでしょうか。
自分が思う通りの弓道ができなくなった湊は、どうしようもない不安を抱えます。
そんな湊の不安が4行目と5行目の歌詞に表れているでしょう。
しかし湊には、もう一度弓道に向き合う勇気をくれる人がいました。
美しい「弦音」を響かせ、かつて湊と同じ悩みを抱えた青年・滝川雅貴(たきがわ まさき)。
彼に背中を押されたシーンが、最後の行の歌詞から思い出されます。
放て胸の深くまで
刺さって抜けない音になれ
いつまでも色あせずに
強く鳴り響け
流れ過ぎ去ってく今を
掴んで離さないでいて
いつだって信じて放て
僕である為
出典: Naru/作詞:PON 作曲:PON
悩みや不安を振り払うかのように「音」を放っていく姿が、1番のサビから伝わってくるでしょう。
幼い頃や悩みを抱えていた時に聞こえた「弦音」は、いつまでも湊の心に残っています。
そんな美しい「弦音」をいつか自分も鳴らしたい。
湊はその理想を現実のものにするために弓を引くのです。
放っていく「音」には今まで自分が過ごしてきた時間や、今この瞬間がこめられています。
大切な時間がいつまでも消えずに心に残るように。そんな願いも込められているのかもしれません。