「Naru」の2番からは、湊が仲間に対して抱いてる感謝の気持ちや、前に進んでいく様子が伝わってきます。

「君」いたから前を向けた

なにもない僕になにができるだろ
塞ぎ込んでた僕をよそに
君は変わらず笑った

何度も救われた
ごめんなありがと
立ち上がれたのは
君がいたから
高い空見上げた
込み上げた涙の訳は

出典: Naru/作詞:PON 作曲:PON

矢が的に届かず、戦力外となった湊。湊が感じている無力感が1行目の歌詞に表れています。

湊と同じく中学時代に弓道部に入っていた竹早静弥(たけはや せいや)は湊を見捨てません。

高校で弓道部に入った静弥は湊を弓道部に勧誘します。

湊は「自分なんかが入っても戦力にならない」と何度も勧誘を断りました。

しかし静弥は笑みを浮かべ、湊のことを信じ続けるのです。

このパートの歌詞には、湊から静弥への感謝の気持ちが表れているように感じます。

最後から2行目の歌詞には、空を見上げる様子が書かれています。

1番では、水たまりに映った虚像の空を見下ろしていました。

しかし2番では、顔をあげて本物の空を見上げるのです。

まるで現実に向き合い高みを目指していく様子が描かれているように思えます。

弱くても憧れは失わない

叫べ強くなれなくても
涙拭って歩いてゆけ
誰か照らす光に
いつかなれるように
数え切れない日々の果て
あの日の音は聞こえるかい
いつだって怖くて不安です
失くしたくない

出典: Naru/作詞:PON 作曲:PON

前に進むことを決意した湊ですが、すぐに思い通りの弓道ができるようにはなりません。

そのせいで、入部当初は他の部員からけなされたこともありました。

しかし湊は理想の「音」を鳴らすために、真摯に弓道に向き合います。

心の中では泣いていることもあるでしょう。不安はまだ消え去ったわけではないのですから。

湊の正直な気持ちは、最後から2行目の歌詞に表れているように思えます。

こうした湊の不安と決意が、2番のサビの歌詞から伝わってくるのではないでしょうか。

僕だけの「音」を鳴らすために

「Naru」のラストでは、湊が自分の居場所を見つけ、「音」を鳴らしていく様子が描かれます。

自分がいるべき場所はどこ?

誰かに必要とされたいと
思うならここにいちゃダメでしょ
嘆き悲しみ泣くだけならば
そんな僕は必要ないんだ
信じるモノは僕が決めるよ
目には見えないモノもあるんでしょ
答えは僕が決める
さあ届け君の中まで

出典: Naru/作詞:PON 作曲:PON

一度は弓道をあきらめかけた湊。

矢が的にも届かないような自分は弓道部には必要ない」と感じ、嘆いていたのでしょう。

しかしこのパートでは、そんな後ろ向きな自分に別れを告げています

雅貴や静弥の後押しもあり、自分がいるべき場所はやはり弓道部なのだと考えた湊。

周囲に何を言われようと、どんなにみっともなくても、理想のためにあがくと決めたのです。

私自身も同じようなことを思った経験があるので、このパートの歌詞には特に胸を打たれました。

湊が信じ、鳴らしていく「音」。

「Naru」を聴いて、私も湊のように誰かの心に残る「音」を届けていきたいと思いました。

「Naru」は最後に1番のサビをもう一度繰り返します。

ラックライフや湊の放つ「音」が、胸に刺さって離れなくなるのではないでしょうか。

タイトルの「Naru」は何を表わしている?

「Naru」の歌詞は、主人公の湊の目線でアニメの世界観を表していました。

タイトルの意味も、実は「ツルネ ―風舞高校弓道部―」に深いかかわりがあるのではないでしょうか。

「Naru」はタイトルをローマ字で表記することによって、複数の意味を持たせていると考えられます。

ここでは「Naru」が意味していると考えられるものをいくつか挙げてみましょう。

理想の音を鳴らす自分に成る

タイトルの「Naru」は漢字に置き換えると「鳴る」「成る」という意味合いがあります。

「ツルネ ―風舞高校弓道部―」にとって大切な要素である「音」が「鳴る」様子

そして湊をはじめとする弓道部員たちが理想の自分に「成る」様子が表現されているのではないでしょうか。

主人公の「鳴」宮湊