強さの理由

星が見えない 孤独な夜も
あなたがいる ただそれだけで
強くなれる

出典: あなたがいることで/作詞:Uru 作曲:Uru

ここでは夜空に例えて、見通しがもてないことが暗示されています。

古代の人々は、北斗七星を目印に旅をしていました。

方位磁石を持っていなくても、空が方向を教えてくれていたわけです。

しかし、雲っていれば指針は得られません。

自分がどこにいるか分からない。

見通しもつかなければ、一人ぼっちになったように感じてしまうのも頷けます。

しかし、「僕」が本当に向かう先を見失うことはありませんでした。

「あなた」がいたからです。

心の支えのある・なしは大きな違いになります。

「僕」には大切な人がいたから、完全に道に迷うことはなかったのです。

すべては過去のこと

楽しい思い出

目が合えば笑って
一緒にいれば楽しくて
共に過ごした日々は
かけがえのないものだった

出典: あなたがいることで/作詞:Uru 作曲:Uru

優しいメッセージが、ここで小さな転換を見せます。

過去形の文章が登場しました。

そう、これまでの「あなた」への想いは、僕の回想でした。

現在、2人は同じ場所にはいないようなのです。

2人の間に何があったのかは、歌詞から読み取ることはできません。

しかし、後味の悪い別れの気配はなく、どこまでも透明です。

「僕」はこれほど相手を大切に想っていました。

どうして2人は離れてしまったのでしょうか。

幸せのありか

向かい風が冷たくて
忘れてしまいそうになるけど

出典: あなたがいることで/作詞:Uru 作曲:Uru

ここでは風向きのたとえによって、人生の不調な期間が象徴されています。

現実があまりに厳しいために、「あなた」との思い出を忘れかけているようです。

人間は本能的に、否定的な出来事に目が向くように出来ています。

不快な状況に素早く気づき、改善しようとすることが生存に繋がったからです。

辛い時期にさしかかると、私たちは辛さを実際より大きく感じてしまいます。

時には、辛いことが永遠に続くのではないか…と錯覚してしまうことさえも。

通りすぎてきた何気ない日々の中に
僕らの幸せは確かにあった

出典: あなたがいることで/作詞:Uru 作曲:Uru

しかし、根本的な印象は揺らぎません。

「僕」にとっては、過去の日々が紛れもない幸福でした。

現状が辛くても、過去の幸福は変わらないのです。

もしかすると当時は、幸福を感じられなかったのかもしれません。

振り返ってから初めて気づくこともたくさんあります。

「当時、気付いていればよかった」と後悔してしまいますが、無理な話です。

「僕」は過去を悔やんで否定的になるよりも、幸福に気づけたことに焦点を当てています。

今ならできること

今度は「僕」の番

もしも明けない夜の中で
一人静かに泣いているのなら
あなたが僕を信じてくれたように
次は僕がその手を強く握るから

出典: あなたがいることで/作詞:Uru 作曲:Uru

「僕」は今、「あなた」がどこで何をしているか知らない様子。

「あなた」の現状を想像して、自らの決意を確かめています。

かつての「僕」は、「あなた」に励まされるだけでした。

しかし今度は、「あなた」を助けたいと願っています。

辛い別れが、「僕」の心持ちを変えたのでしょうか。