彼にとって愛の化身である彼女もまた、本当の愛と幸せに飢えているのです。
彼女は自分を相手にしてくれる男性に恋愛感情を抱いてしまう女性。
恐らく、寂しさを埋めるためだけの疑似恋愛感情です。
本当に愛しているかは自分でも分からず、相手にはなんの感情もないことに気付いています。
どうせあなたも同じでしょう?
そんな考えを持ちながら彼とも体の関係を持ち続けています。
気持ちが触れ合える男性の存在
『化身』の主人公でもある男性は、彼女と同じように愛や幸せに対する失望感が大きい男性です。
彼女は他の男性と同じように彼の相手をしていますが、彼から発せられる愛に戸惑いを隠せません。
これまでの経緯からいっても、男性を簡単に信じることなどできないのです。
もし裏切られたら?
本当は愛や幸せを最も欲しているのに、また男性不信に陥ってしまう……。
傷つくことを恐れています。既に心は傷ついているのに。
本気になってはいけないと思えば思うほど、気持ちが揺らいでいくのが分かっています。
彼が本当に自分自身を求めているとうすうす感じているから。
女性の葛藤まで聞こえてくるもどかしい曲です。
本当の幸せはつかめたのか?
結局、彼らが本当の幸せにたどり着けたかまでは描かれていません。
男性がここぞという時に本気を出して、彼女とは心から結ばれたと想像できます。
しかし、描いていないということは、その後のストーリーは聴く人にお任せということでしょう。
現代の闇でもあるかもしれませんね。愛の化身は。
『化身』は『Squall』の進化系?
福山さんは男性ですが、女性の心理描写もうまい!
その代表曲が松本英子さんに提供された『Squall』かもしれません。
私 恋をしている 哀しいくらい
もう隠せない この切なさは
もっといっしょにいたい ふたりでいたい
叶えて欲しい 夏の憧れ
出典: Squall/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治
このフレーズは世の恋する女性たちの代弁のような曲でもありました。
曲の背景と実際の恋の背景は違えど、多くの女性に共感する部分があったことでしょう。
10年の時がたった『化身』では、もっと複雑な女性の心理を裏で描いています。
酸いも甘いも経験したからこそ書けた歌詞なのかもしれません。
サザンオールスターズの桑田さんをリスペクトした歌?
『化身』のMusic Clipを聴いてみてください。
イントロから「ん?サザン?」と思わせるメロディー。
歌詞に含まれる単語も、ところどころで桑田さんの言葉選びを思い起こさせます。
全体的な内容も色艶がある雰囲気で、桑田さんをリスペクトしているのかなと。
サザンオールスターズに影響されているミュージシャンは多いです。
福山さんは同じ事務所(アミューズ)の後輩で、桑田さんを尊敬しています。
桑田さんが福山さんをかわいがっているのも、ファンの間では有名です。
福山さんの曲にはいわゆる桑田節を連想させるものがいくつか存在しています。
オマージュ感が強い作品なので、どちらも好きな方には心地良く聴ける曲です。
年相応に変化する福山雅治の曲をご紹介
追憶の雨の中
『追憶の雨の中』は、今となっては初々しささえ感じさせます。
それもそのはず!当時は21歳でしたから。
シンガーソングライターというよりも、俳優が歌を歌っているというイメージが大きかったです。
『化身』の初回限定盤にも収録されています。