いきのもがかり【STAR LIGHT JOURNEY】歌詞の意味を解釈！二人の関係って？涙の理由とは

2019年11月2日発表、いきものがかりの通算5作目の配信シングル「STAR LIGHT JOURNEY」。

1960~1970年代のA&Mレーベルのポップスのようなエバーグリーンなサウンドです。

歌詞にもA&Mレーベルのポップスへの言及がありますので確信犯的なオマージュでしょう。

いきものがかりに相応しいポップスの王道をゆく楽曲に仕上がっています。

うっとりするようなストリングスには壮大ささえ感じさせるのです。

星と星の間を行き来する銀河鉄道の旅に重ね合わされるのは若いふたりの切ない愛の情景。

大人の愛へ移行する時期にいる若いふたり。

彼・彼女が紡ぐ愛の姿とはどのようなものでしょうか。

作詞作曲は水野良樹ですが女性の心境に憑依したような歌詞を書いています。

いきものがかりのユニットとしての成熟する姿がうかがえるのでファンの皆様は感慨深いでしょう。

多感な時期を超えて愛を育むのは私たちにとっては必然の道程です。

若いリスナーはこれから先の愛の姿を、歳を重ねたリスナーは若かったあの愛の日々を思い起こしましょう。

歌詞は分かりやすい言葉で綴られますが、ところどころに重要なアイテムを隠しています。

いきものがかりから届けられた愛の贈り物です。

歌詞の意味を紐解いてその若い愛の姿に迫っていきます。

それでは実際の歌詞をご覧ください。

歌い出しの歌詞になります。

このラインはサビとしても機能します。

登場人物は語り手の女性である私と交際相手の男性であるあなたのふたりです。

まさにふたりきりで進行する愛がメインテーマになっています。

星と星をまたいでゆくような旅にふたりの愛の姿を投影するので歌詞もサウンドも雄大です。

1960~1970年代、フィル・スペクターが挑戦したようなウォール・オブ・サウンドへのオマージュ。

水野良樹はA&Mレーベルのポップスやソフト・ロックが再評価された時期に青春時代を過ごしました。

この時期の影響が彼の芯になっているのかもしれません。

カーペンターズやクロディーヌ・ロンジェなどの女性がメインのアーティスト。

ロジャー・ニコルスやフィル・スペクターなどの超有能な制作陣。

圧倒的なクオリティのサウンドで一世風靡したA&Mポップスは何度も再ブームを起こしました。

いきものがかりはもちろんリアルタイム世代ではありません。

しかし何度も繰り返される再ブームの流れの中で影響を受けて音楽性を高めてきたのでしょう。

「STAR LIGHT JOURNEY」はサウンドも歌詞もA&Mポップスへの思い入れを覗かせます。

ふたりの年齢層は明示されません。

この女性が学園生活を過ごしているのかOL生活をしているのか判断が難しいです。

初めての感覚に戸惑っていますが、初恋という訳ではないかもしれません。

私が直面した初めての感覚とは大人のちょっと危険な恋に接した際の気持ちを指します。

危ない恋の線引きは人それぞれでしょう。

社内恋愛禁止の職場で恋に落ちてしまったらどうでしょうか。

もしくは清廉潔白な恋からステップアップして夜に育まれる愛に達したのかもしれません。

その両方が同時に訪れた可能性だってあります。

水野良樹はあらゆる可能性を否定しないように用心深く歌詞を紡ぎました。

あまりに特殊なシチュエーションに限定していしまったならばリスナーの共感を得られません。

ともかく私はちょっと危ない恋へと一歩足を踏み込みました。

この恋心は止めようがありません。

愛については少しくらいスキャンダラスで危なさが漂うくらいの方が没入できます。

この愛はふたりだけしか理解しないかもしれない。

そうした思い込みや幻想に惑わされてさらに恋愛にハマってゆく姿が描かれています。

のんびりした恋愛を描くことも多いいきものがかりもアーティストとして成熟したのです。

少し癖のある恋愛を描いてみせます。

しかしそこに星と星をまたぐロマンチックな旅というモチーフを加えているのです。

ファンタジーに訴えることで少し危険な恋にも間口の広さを確保しています。

旅立ったらもう引き返せない星間旅行のような恋愛が始まりました。

周囲に悟られてはいけないふたりの恋です。

バレたら職場を解雇されるような条件の下で恋愛をしているのでしょう。

学園の中でもふたりの関係を秘密にしたいといいながら密かに恋愛している人もいるはずです。

危ない恋とはいってもいきものがかりのラブソングですから不倫のような道を外れた愛ではないでしょう。

恋愛に関してこうした制限を求める境遇自体は恵まれたものではありません。

恋というものは基本的に人間を解放するものですから秘密主義とは相容れないかもしれないです。

しかし一方で秘密にすることが前提だからこそ燃えてしまうような恋というのも分かる気がします。

こうした恋愛のパラドックスのようなものがどのようなメカニズムを持っているのかは分かりません。

それでもわざわざ危険な方向に賭けてしまう人というのは一定数いるものです。

ギャンブルに興じる人は損をする危険を承知で熱中しています。

恋愛がギャンブルと同じという訳ではありません。

それでも危険な要素があるからこそ熱狂するというのは人間の深層心理の何かと結びつくのでしょう。

ふたりは夜にこそ愛を育みます。

太陽の下での明るい恋愛とは違うのです。

やはり「STAR LIGHT JOURNEY」はいきものがかりのラブソングでは異色作かもしれません。

ただし、そこはいきものがかりです。

散歩道で交わせる愛についてしか書いていません。

路上では手をつなぐことや軽くキスするくらいのことしかできないでしょう。

身体で感じる愛ですが露骨な愛の描写はされないのです。

そうなるとそこまでの愛の交歓さえ隠さなくてはいけない事情というものがさらに不思議になります。

語り手の私は散歩道で交わした愛の記憶が脳裏から離れません。

秘めた恋というものにどんどん深く埋没してゆくのです。