追いかければ追いかけるほど遠ざかっていくような感覚。とても苦しかったに違いありません。
それでも君に憧れていたことに変わりありませんから、僕は必死についていこうとしたのでしょう。
しかし君が持つ才能の輝きを前に、僕はどこか諦めの気持ちを抱き始めていました。
さらに才能だけでなく、君のロックな生き方にも近づけなかったのでしょう。
音楽面でも近づけない、生き方さえも真似できない、そんな自分を「中途半端」といっていますね。
僕らしさを取り戻したい
あぁ
ロックな君とはお別れだ
ずっと僕は紛い物と笑われ
いつまでもダサい姿晒して
ロックじゃないね
ロックに生きたいね
そう、だからお別れだ
じゃあね
出典: ロックな君とはお別れだ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
しかしここで僕は、大切なことに気がつきます。
これまでは追いかけることに必死すぎたせいで、大切なことを見失いかけていたのでしょう。
それが「僕らしさ」。3行目にある通り、僕はある意味君の存在に固執していました。
そんな状態で君を追いかければ、僕が「僕」ではなく「君のコピー」に近づいていくのは必然でしょう。
となれば当然次にやってくるのは、歌詞3行目にある通りパクリだと貶される運命。
僕は自分の進む道が、少しずつ歪みを増していたことに気がついたのです。
だからこそ君とのお別れを決意しました。
中途半端に君の真似事をするのではなく、僕は僕として生きていく。それが本当のロックだ。
この気づきと新たな決意こそ、僕が君との別れを決意した理由です。
本当の僕に気がついた
才能豊かに生きてきたつもりだった
優等生ぶっていた
ボロだらけの劣等生だ
直感だけどなんとかなる気がしていた
真っ当なんかじゃないけど
特別になりたかった
出典: ロックな君とはお別れだ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
君に憧れながら音楽を始めた僕は、自分にも音楽の才能があると信じていました。
しかし自分が持っているその才能を過大評価しすぎていたのでしょう。
現実に気がついた僕は、最初の評価が高かったからこそそのギャップに打ちのめされました。
優等生だと思っていた僕は、実は劣等生だったのだ。
自分の才能を過信していた僕にとって、この現実は相当ショッキングだったに違いありません。
ロックに生きるために別れる
あぁ
ロックな君とはお別れだ
ずっと僕は君に離されたまま
いつの日か其処に追いつきたい
でも角が欠けていたから
全部、中途半端になって
あぁ
ロックな君とはお別れだ
ずっと僕は卑怯者と笑われ
いつからか全て見えなくなって
ロックじゃないね
ロックに生きたいね
そう、だからお別れだ
じゃあね
出典: ロックな君とはお別れだ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
ここでも、僕と君の違いについて語られています。
憧れて追い続けていた君の存在に、僕は結局追いつくことができませんでした。
ただ追いつけないだけならまだしも、君の真似事をする僕への厳しい批判もあったのでしょう。
僕の音楽活動は君の存在が指針になっていましたから、それを否定された瞬間に進むべき方向を見失います。
自分は一体どこへ向かえばいいのか。自分は一体何を目指していたのか。
暗闇に放り込まれた僕がそこから抜け出す術はたった1つ。
何度も繰り返されている通り、君とお別れすることでした。
何もわかっていなかった過去の自分へ
変わったから 変わったから
悟ったから 悟ったから
わかってないね
言葉じゃ何とでも言えるからさ
出典: ロックな君とはお別れだ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
君に追い付けないことに気がつき始めた僕。そして君の真似事だけではいけないと理解し始めた僕。
君の背中を必死に追いかけていた頃にも、同じことを考えていたのかもしれません。
しかしその頃は、本当の意味でこのことを理解していなかったのでしょう。
自信過剰で、周囲の意見を取り入れられない時期もあったのかもしれません。
その頃の自分に対して、こんなフレーズを投げかけているのでしょう。