6.Butterfly

流暢な英語歌詞から始まるのが6曲目『Butterfly』です。

比較的静かに進行するA・Bメロを経て、サビで一気に開放的な雰囲気が広がります。

芯の強さを感じさせるこの曲にはどのようなメッセージが隠されているのでしょうか。

ポジティブの強要をしない

I wanna fly tonight like a butterfly
瑠璃色の羽なびかせて街に出掛けるの
ダイヤの指輪を夜に放り投げた
飛べれば楽なのにlike a butterfly

出典: Butterfly/作詞:たつや◎ 作曲:たつや◎,LIKI

ラメを散りばめたような美しい羽を羽ばたかせる蝶に憧れている描写です。

しかし憧れているだけで、実際に空を飛ぶことはできていません。

ダイヤを蝶に見立ててみても、あっという間に落ちてきてしまうのでしょう。

辛いことがあったとき、励ましてくれる友人や恋人の言葉は嬉しいものです。

でも、それだけで次の一歩を踏み出せるような強い人は少ないのかもしれません。

蝶のように跳びたいけれど、飛ぼうと思って誰もが飛べるわけじゃない。

ポジティブな楽曲に隠れた少しのネガティブが印象的です。

7.BLACK HOLE

黒電話の音からホーンにスイッチ!『BLACK HOLE』は単純ではないメロディ展開が魅力です。

軽妙に言葉を落としていくようなA・Bメロにホーンが彩りを加えます。たつや◎のファルセットがまた美しい!

そしてサビに突入するなりマイナーコードにチェンジ、完全にロックの様相を呈します。

何が起きるか分からない、これぞブラックホール!

飲み込まれる前にどうにかしなきゃ!

堅く鈍い世の中について頭を抱え僕はミュージシャン
変に深くなにかに悩んで頭の中に荷物ばっか

そんな時に限って一人に感じてどん底へ
ようこそブラックホール地獄の入り口へ

ずっと深いとこでなにかに怯えて暗い底へ

出典: BLACK HOLE/作詞:たつや◎ 作曲:たつや◎,LIKI

思考が一時停止を起こして身動きが取れないぐらいの大きな悩み。

それをひとりで解決するのはとても難しいはずです。

しかし、どうにもならないからこそ「どうにもしてもらえない」という孤独に苛まれるのでしょう。

何も知らない人々は悩みなさそうにヘラヘラと笑っているのですから、相談する気も起きません。

何でもかんでも飲み込んでしまうブラックホールは、誰のそばにも口を開けて待っています。

悩みだけ飲み込んでくれたらいいのに、と感じませんか?

8.LIFEメーカー

『鬱憤』に続く2ndシングルとして配信リリースされたのが『LIFEメーカー』です。

ACE COLLECTIONのオリジナル曲のクオリティの高さをこれでもか!と見せつけた感があります。

誰でも理解できるような言葉を積み上げているからこその説得力。

どんなにハードなドラミングであっても、どんなに歪んだギターがかき鳴らされようとも、届きます。

そりゃわかんないことだらけ
不安なことだらけ
それでも弱音はほどほどにして
僕ら支え合って必死に息を吸って吐いて
泣いて笑っていこう
全ては自分次第 LIFEメーカー

出典: LIFEメーカー/作詞:たつや◎ 作曲:たつや◎,LIKI

どうしてうまくいかないんだろうか、と愚痴っているのはラクなことです。

愚痴がトランスフォームして成功のスイッチに変わってくれるなら、いくらでも愚痴を吐きます。

しかし実際、愚痴はほんの一瞬の息抜きにしかなりません。

愚痴を吐いてしまったことを悔やむ人だっているのです。

人生山あり谷あり、谷もきっと人生に必要な要素なのでしょう。谷があるから山が高く見えます。

谷に落ちたら、足元ではなく誰かが指差す山を見上げましょう。

谷に落ちた人を見つけたら、山に向かって指先で視線を誘導するのです。

逆境を逆境で終わらせるか否か。選択権は自分自身が持っています。

9.ROCK STAR

ACE COLLECTIONが初めてリリースした曲は『鬱憤』です。

しかし初めて制作した曲は別に存在します。それがアルバムのラストを飾るROCK STAR』です。

爽やかな曲調とどこか幼い「ロックスターになりたい」というフレーズ。

それなのにエモーショナルな楽曲に仕上がっているのはたつや◎の表現力の賜物です。