スピッツ「夢じゃない」

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1997年リリース

まずは、「夢じゃない」の基本情報から触れていきましょう。

「夢じゃない」は、1997年4月23日にリリースされた16枚目のシングルです。

スピッツらしい独自の完成で紡がれた歌詞が、緩やかなメロディーに乗せられ、どこか寂しげだけど温かい気持ちにさせてくれる1曲です。

筆者もとても好きな1曲であり、ファンや他のアーティストからの支持も多く受けている楽曲で、辺見えみりが自身のアルバム内でカバーをしていたり、テレビ番組内の挿入歌としても多く使用されています。

それにより、多くの人の耳に触れる機会も多く、オリコン週間チャートでは6位という実績を残しています。

また、実はこの楽曲が初めて世に出たのは、このシングルではありません

元々は、1993年リリースのアルバム「Crispy!」にすでに収録されており、このアルバムが初出しなのです。

では、なぜシングルカットに4年もかかってしまったのでしょうか?

その理由は、リリースと同年にテレビドラマ「ふたり」の主題歌として起用されたからです。

4年の歳月を経て、シングルカットされるのは異例のことですが、それによりリミックスも施され、ファンには嬉しいリリースになったことは間違いないでしょう。

それでは、次にオリジナルバージョンが収録されたアルバム「Crispy!」に迫っていきましょう。

アルバム「Crispy!」に収録

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「Crispy!」は、1993年9月26日にリリースされた4枚目のアルバムです。

「夢じゃない」は、このアルバムの6曲目に収録されています。

スピッツのアルバムとしては珍しく、オリコンチャートで27位と結果は振るわなかったですが、「君が思い出になる前に」などの名シングル曲も収録され、長く愛されている1枚です。

また、「何事も3年やってみてから」とはよく言ったものです。

デビューから3年目に出されたアルバムということで、彼らは意気込んでこのアルバムの制作に打ち込みました。

バンドとしてもう一段階、上の段階へと上がっていかなければいけない時期であり、初めて外部プロデューサーに笹路正徳を迎えました。

しかし、前述したようになかなか結果が振るわず、ボーカル&ギターの草野マサムネは嘆いたそうです。

とはいえ、結果的には笹路正徳ともこの後、長い付き合いになったり、シングルカットされたりと良いことの方が多かったのではないでしょうか。

人形が主人公のMVの意味とは?!

全編ミニチュアの人形アニメ!

それでは、次に「夢じゃない」のMVに迫っていきましょう。

「夢じゃない」のMVは、全編ミニチュアの人形アニメで構成されています。

なんとなく教育テレビ的な雰囲気を感じる映像になっており、演奏シーンやドラマ仕立てのMVとは一味もふた味も違う魅力的な仕上がりになっています。

ストーリーを徹底解説!

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そんなMVのストーリーに触れていきましょう。

まずは、映写機のような機械が登場します。

そして、舞台は荒れ果てた砂漠の街、その街を1体の人形がその機械を背負いながら歩いていきます

その歩いているうちに回想のようなシーンに繋がっていきます。

瓦礫の山を見つめながら、空から落ちていく何体もの人形、そして、積まれていく瓦礫を思い出しています。

これは、この人形の過去なのでしょうか。

さらに、その瓦礫の山の間を縫って歩き続けます。

そして、その山から1体の人形を連れて帰ります。

ベッドの上に寝かせ、巻き戻る時間。元々は、この地も栄えており、たくさんの人形と楽しんでいた様子が窺えます。

しかし、現実は1体の人形のみで、それを憂いながら連れて帰った人形の胸に何かを挿します。

そして、物語の終盤で、その連れて帰った人形が蘇ります。

その動き出した先には、最初に動いていたはずの1体の人形の倒れた姿。

おそらく自分の動力のようなものを、その人形に受け渡したのでしょう。

背格好を比べてみると、蘇った方が小さく、もしかしたら子どもなのかもしれませんね。

さらに最後は、最初の映写機のようなものが砂漠に置き去りにされ、締めくくられていきます。

これは、一体何を意味しているのでしょう?

きっとこの人形のストーリーは、人間の世界に置き換えることもできるのではないでしょうか。

環境汚染などが叫ばれて久しい現在ですが、それにより人間は自らの首を自らで絞めているようなところがあるような気がします。

また、人間に限らずとも、どこかでその影響を受けているものや人、生物がいるはずなのです。

しかし、それでも私たちは未来へと命を受け渡していかなければいけません。

そんな世界へ警鐘を鳴らしているような印象のMVになっています。

コード譜を紹介!

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それでは、次に「夢じゃない」のコードについて触れていきましょう。

基本的には、スピッツ楽曲において使用されるコードはとてもシンプルなコードが多いです。

それでも歌詞とメロディーが秀逸であることで、独特の世界観を生み出していると言えます。

C    G     E7onG# Am
温かい場所を深し泳いで     た

G  D7onF#
最期の離島で

F ConE  D7 F ConE  D7 G
君を見つめていた君を見つめていた

出典: 夢じゃない/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

まずは、Aメロのコードですが、この楽曲はオンコードが非常に多いです。

Aメロでは、特に多用されています。

オンコードとは、簡単に言うとコードを構成する音の中で基となる音(ギターの場合は一番低い音であることが多いです)が変化しているコードです。

「●on▲」と表記されているもので、「on」の後に表記されたコードの音が一番低い音として加えられます。

ここで使用されているものの中では、ギターで弾く場合に押さえづらいのは「E7onG#」ですね。

他のオンコードは「on」の手前に来ているコードを押さえた上で「D7onF#」は6弦2フレットを加え、「ConE」は6弦の開放音を加えるのみで再現できます。

実際にやってみると分かりますが、「E7onG#」は「G#」までの距離が少し遠いので、他のコードより指を開かなければならない点で難しいと言えるでしょう。

C     G   E7onG# Am
同じリスムで揺れてたブランコで

G   D7onF#
あくびしそうな

F ConE  D7 F ConE D7/
君を見つめていた君を見つめていた

G GonF/GonE GonD/

出典: 夢じゃない/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗