日本語訳を掲げます。

当時の英国の世相が現れているフレーズです。

別の街へ移り住んだ
落ち着こうと頑張った
どの仕事にも多くの人が集まっていた
誰にも必要とされない多くの人が

出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel

このフレーズには当時の世相が現れています。

当時のイギリスではサッチャー首相の経済政策によっても失業率が改善しませんでした。

世界恐慌以来の最悪の失業率だったといわれています。

イギリスの失業者数は300万人だったそうです。

記憶に新しいところでいうと、リーマン・ショック後の失業者激増に相当するでしょう。

そういうときに困難な状況に陥るのは弱者です。

例えば派遣切りなどがその例のひとつでしょう。

ピーター・ガブリエルが歌う心境は、その状況になってみないとわかりません。

しかし、誰がそうなってもおかしくない世界なのです。

落ち込む人に何が必要?

プライドを守ること

Peter Gabriel【Don't Give Up (ft. Kate Bush)】和訳&解説の画像

Don't give up
'cause you have friends
Don't give up
You're not the only one
Don't give up
No reason to be ashamed
Don't give up
You still have us
Don't give up now
We're proud of who you are

出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel

日本語訳を掲げます。

男性にとって生活苦よりも重大なのはプライドなのではないでしょうか。

そんなふうに女性が思っているような気がするフレーズです。

あきらめないで
あなただけじゃないわ
あきらめないで
恥じることはないのよ
あきらめないで
あなたには私たちがいるわ
あきらめないで
あなたという人を誇りに思っているのよ

出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel

ケイト・ブッシュのパートに移ります。

「あなただけじゃない」と言って励ますのです。

たしかに多くの人が失業している状況にあります。

恥ずかしいと思っている場合ではありません。

概して男性は、プライドが高いので失業を恥と感じることが多いのではないでしょうか。

しかしながら、強がることをやめて友達に弱みを見せていいとケイト・ブッシュは歌います。

8行目の「us」の部分のケイト・ブッシュの泣くように震える声がとてもいいですね。

この声に癒やされる人も多いでしょう。

余談ですが、この楽曲のコラボは最初ケイト・ブッシュではなかったそうです。

しかしながら、ピーター・ガブリエルは結局ケイトとコラボできて良かったといっています。

2人とも80年代英国音楽を代表するアーティストです。

しかも通好みのアーティストといえます。

絶妙なコラボで、名曲です。

寄り添うこと

Don't give up
You know it's never been easy
Don't give up
'cause I believe there's the a place
There's a place where we belong

出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel

日本語訳です。

今までだって楽ではなかったけれど、希望はあると歌います。

あきらめないで
確かに楽な道ではなかったわ
あきらめないで
私たちが行くべき場所がきっとどこかにあるわ

出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel

また、本楽曲にはいくつかのリメイクバージョンがあります。

ピーター・ガブリエル自身と別の女性アーティストとのバージョンです。

Paula ColeAne Brun2人とコラボしています。

また、別のアーティストによるコラボもあるのです。

Willie NelsonSinéad O'ConnorAlicia KeysBonoによってリメイクされています。

かなり渋めのアーティストの方々ですが、名曲なので聴いてみてください。

本楽曲が時代を通じて普遍的な理由は

Peter Gabriel【Don't Give Up (ft. Kate Bush)】和訳&解説の画像

先ほども述べましたが、本楽曲は失業率上昇の背景で作られた曲です。

失業者だけでなく、落ち込む人に対して勇気をくれる曲といえます。

ピーター・ガブリエルの歌唱は、落ち込む人の心理を代弁する歌詞です。

ケイト・ブッシュの歌唱は、落ち込む人を癒やしてくれます。

絶望状態にあるときは、友達の声など届かないかもしれません。

人によっては、独力で立ち直ることが必要なときだってあるでしょう。

でも本楽曲に限らず、自分を癒やしてくれるものはあるはずです。

どんな強い人でも、心が弱くなるときや状況はあります。

そんな状況を乗り越えられますように…。

人生の困難にぶつかったときに聴きたいアーティスト

amazarashi