【スピッツ/ルナルナ】歌詞の意味を考察！“羊の夜をビールで洗う”とは？新しいときめきの盗み方に迫る

いよいよクライマックスの歌詞です。

お気付きでしょうがこの箇所はリフレインになります。

それでも最後ですので改めて歌詞を負ってみましょう。

「ルナルナ」の歌詞は思いのほか情報量が少ないのです。

そこにファンキーなサウンドですから黒人音楽へのリスペクトを含むのかもしれません。

淫靡で猥雑だけれどもスウィートな悪魔の歌というのは黒人音楽の形容に相応しいでしょう。

黒人のダンス・ミュージックから多大な影響を受けたロックの在り方そのものへの憧れかもしれません。

ただし、先ほど見たとおりにすべて僕の幻聴である可能性だって捨てきれないのです。

君が好きだという思いは肉感的な愛の行為への渇望へと成長します。

しかし草野正宗のネタバレによると僕はホテルにひとりでいるという設定です。

プール付きのホテルというのはバブル経済期から日本の各地で増えてきました。

1995年には普通になっていた記憶があります。

たださらにネタバレを加えるとこの空間はカップル専用の特殊なホテルだと草野正宗はいうのです。

つまり普通の豪華ホテルにあるようなプールを想像するとかなり違います。

こうした特殊なホテルはバブル経済期にたくさん登場しました。

1995年にはバブルなどとうに崩壊していましたが、その名残というものはまだ生々しかったです。

こうしたカップルのためのホテルにひとりでいるという設定はかなりアクロバティックでしょう。

そして「ルナルナ」という可愛げな言葉で愛の行為を思い起こさせる語彙力が素晴らしいです。

どこまでも不思議なスピッツの歌、もしくは本当は怖いスピッツの歌というのはファンにはお馴染みでしょう。

この「ルナルナ」も解釈してみたら怖ろしいものでもあったと判明します。

可愛いタイトルでラブソングなのかなと漠然と思っていた方も多いはずです。

しかし一癖も二癖もあるスプーキーな楽曲になっています。

こうした罠を仕掛けてくれるからこそ草野正宗の歌詞解釈はやめられません。

「ルナルナ」は密室の風景を描いて一歩も外へ出ません。

しかし僕の君へ向かう想像力が飛び出して羽ばたいてゆきます。

とはいえ鳥のような優雅さはありません。

蜂のように君の周りを付きまといたいというこれもまた不埒な願望に支えられているのです。

噛み締めてゆくとサウンドだけではなく歌詞までもえらくロックな楽曲が「ルナルナ」でしょう。

こんなスピッツをもっと聴きたい方のためにいよいよサブスク配信でいくらでも愉しめる時代になりました。

「ルナルナ」はアルバム「ハチミツ」で聴けます。

一方で「涙がキラリ☆」のシングル盤をいま入手することは難しいかもしれません。

ぜひネット回線に繋いでアルバム「ハチミツ」を聴き遂げてください。

それこそ若いリスナーにとっては生まれる前の曲だという人も多いでしょう。

何せ振り返ると20世紀のナンバーなのですから時の流れにはびっくりします。

しかし「ルナルナ」のグルーヴというものは一切色褪せていません。

蠱惑的で魅惑的な音楽への言及が歌詞の中にあります。

しかし「ルナルナ」そのものも魅力があふれた楽曲です。

歌詞に登場する新しいときめきとはこうした音楽によって得られるものでもあります。

その魅力をスピッツの音楽の中からまるごと盗んでみてください。

スピッツのロックの真髄というものがこの曲に結晶していますから。

その魅力はスプーキーで手に入れ難いものかもしれません。

だからこそリスナーは「ルナルナ」にときめきを感じずにはいられないのです。

「ルナルナ」の実際は切なくなる愛の言葉でした。

僕の思いは一切実らずに酩酊したままで君が夢の中に登場することを待ったままで終わります。

20世紀に遺された孤独な悲恋の歌というのが「ルナルナ」の正体なのです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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