Official髭男dismの【イエスタデイ】はこんな曲
2019年リリースの1stアルバム収録曲
2012年に結成され、長いインディーズ時代を過ごした2018年。
ついにメジャーデビューを果たした【Official髭男dism】。
そして2019年の10月に待望の1stアルバムがリリースされました。
初アルバムにしてオリコンチャート1位を獲得するほどの人気ぶり!
令和が彼らの時代になっていくことを物語っているようです。
そんな大ヒットアルバム『Traveler』に収録されているのが今回注目した【イエスタデイ】です。
長編アニメーション映画『HELLO WORLD』の主題歌として
オフィシャルMVをチェック

歌詞の考察にいく前にこちらのミュージックビデオをご覧ください。
まず「おっ」となるのが楽曲の長さ。
なんと5分ぴったりなのです。ファンからは5分のタイマーになるともいわれています。
ジャスト5分で合わせてくるのは敢えてなのか偶然なのか…。
真実はわかりませんが、編曲が蔦谷好位置であることを考えるともしかしたらわざとかもしれませんね。
映像はどしゃぶりの中ボーカル藤原聡がうなだれている場面からはじまります。
中でもびしょ濡れのピアノ演奏が印象的。
そして歌詞の前半が終わると雨は止む場面がやってきます。
このどしゃぶりから雨が止み、また降り始める演出にはどんな意味が込められているのでしょうか
「君」のためなら悪者になったっていい
君の笑顔が取り返せるなら
何度失ったって 取り返してみせるよ
雨上がり 虹がかかった空みたいな君の笑みを
例えばその代償に 誰かの表情を曇らせてしまったっていい
悪者は僕だけでいい
出典: イエスタデイ/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
主人公にとって何よりも大切にしたかった「君」の笑顔。
どうしてだか、今はとても悲しそう。
降り続く冷たい雨のように今にも泣きだしそうな顔をしている「君」の姿が目に浮かびます。
そんな姿の「君」を主人公は見ていたくないのでしょう。
3行目のように、「君」の笑顔を取り戻すためには、誰かを傷つけてもしかたない。
そう思っている程、「君」の笑顔が危機的な状況であることが伝わってくるようです。
「君」の笑顔が曇った空のように消えていき、いつしかどしゃぶりのような涙になってしまう…。
そんな恐怖を感じているのではないでしょうか。
「君」の笑顔を守るためなら悪者にだってなってみせる。
また「虹の架かった空」は雨が降っている反面、まだ太陽が顔を見せている状態。
悲しくもあればどこかぬくもりを感じる「君の笑み」とは、何か特別なものだったのは、火を見るより明らかです。
歌詞最後の「僕“だけ”~」というフレーズから、強い意志を感じられます。
他にも彼女の笑顔を取り戻そうと奮闘した、友人などの有志がいたのかもしれません。
彼女を助けるのはもちろん、助けるときには周りの人を巻き込まないよう配慮する繊細さがあるのがわかります。
そんな主人公の男らしい想いが綴られています。
理想は理想でしかないから
本当はいつでも誰もと思いやりあっていたい
もそんな悠長な理想論はここで捨てなくちゃな
出典: イエスタデイ/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
これまでは誰とでも優しさを与えあいながら生きてきた主人公。
それが心地よく、人の優しさに支えられてきたこともあったのでしょう。
これからも優しさの中で生きていくことをどこか夢見ていたのです。
しかし、これからやろうとしていることのためそんな理想は手放さなきゃいけないと思っています。
何かを手に入れるために、いろんなものを手放さなければならないことを知っているからではないでしょうか。
これからは理想だけじゃなく、現実をみていかなきゃ。
そんな想いとも解釈することができます。
本当は全員を思いやりたいと考える優しさ溢れる主人公が、冒頭にあった「彼女以外誰が傷ついても良い」のような考えになるまではとてつもない葛藤があったでしょう。
現実とは何か、理想とは何かを追究し、出した結論であると考えると言葉の重みがまた変わってきます。
もしかしたら理想は理想でしかないと感じるに至った、記憶に残る心痛い経験があった可能性も0ではありません。