僕に何ができるだろう
遥か先で 君へ 狙いを定めた恐怖を どれだけ僕ははらい切れるんだろう?
半信半疑で 世間体 気にしてばっかのイエスタデイ
ポケットの中で怯えたこの手はまだ忘れられないまま
出典: イエスタデイ/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
MVではさっきまでのどしゃぶりがこの場面で一気に止みます。
まるで主人公の強い意志や君への確かな想いを表しているかのようです。
1行目からわかるのは、「君」をどんなことからも守れるだろうかという想い。
不安にも似た感情かもしれません。
2行目では昨日までの自分を言葉で表しているのではないでしょうか。
「昨日」というフレーズを使っているのは、おそらく「昨日までの自分」という意味でしょう。
「君」を本当にすべてのことから守れるのか、そう決めた手は実は小さく震えていた…。
そんな主人公の心の葛藤が表れているのではないでしょうか。
果たして主人公は「昨日までの自分」と決別し、「君」のために強くなれるのでしょうか。
まだ迷いや不安を感じますが、続きの歌詞ではどうでしょう。
君の涙でもう自制が効かない
「何度傷ついたって 仕方ないよ」と言って
うつむいて 君がこぼした 儚くなまぬるい涙
ただの一粒だって 僕を不甲斐なさで
溺れさせて 理性を奪うには十分過ぎた
出典: イエスタデイ/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
先ほどまでの迷いがここではなくなる様子が伝わってきます。
「君」は半ばあきらめモード。問題と向き合う力さえ残っていないようです。
その目からこぼれ落ちる涙が主人公の気持ちを一気に確かなものへと導きました。
「君」を守ってやれないという事実を突きつけられ、自分の情けなさに愕然としたのでしょう。
それと同時に、「これじゃだめだ」と主人公は本能的に立ち上がるのです。
彼女の涙を見て触発されたということは、彼女は普段は明るく涙が似合わない女性だったと考えられます。
普段は泣かない彼女が、主人公の前で涙を見せたのはかなり主人公に心を許している証拠でしょう。
更に言うと、かなり酷く落ち込んでいるのが分かります。
人生もどん底で、これから這い上がるプランさえ見つからない状態で、心も痛く苦しい状態です。
そんな彼女を見て、スグに覚悟を決める主人公が、次に取った行動とはなんなのでしょうか。
続きの歌詞を見て行きましょう。
昨日までの自分を捨てよう
今すぐ君の所へ
街のクラクションもサイレンも届きやしないほど
遥か先へ進め 身勝手すぎる恋だと 世界が後ろから指差しても
振り向かず進め 必死で 君の元へ急ぐよ
道の途中で聞こえたSOSさえ気づかないふりで
出典: イエスタデイ/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
どこまでも遠く、何の音も聞こえない程遠くまで走りだします。
例え主人公の周りにいた友人たちが止めようとも、彼はもう振り向かない覚悟です。
彼が目指す先には「君」がいて、誰が呼び止めてももう関係ありません。
とにかく早く「君」の笑顔を取り戻したい。その一心で彼は走り続けるのです。
そして最後のフレーズの「SOS」とは、友人や何かの助けの声の比喩でしょうか。
昔の「全員を思いやりたい」と考えていた主人公だったら、道の途中の助けを求める声も無視できず、手を差し伸べていたでしょう。
主人公が無視したSOSの声の持ち主は、主人公に無視されたことにより顔を曇らせるはず。
ただその事実を主人公は見捨てる覚悟をしました。
自分自身の行動を正当化するのではなく、自分自身が「悪者になる」覚悟を。
世間から見ると「悪者」に見えるかもしれませんが、自分の正義を貫き通すのはかなり男前です。
彼女から見ても、自分のためにここまで尽くしてくれる主人公はかなり魅力的に見えるのではないでしょうか。
昨日までの僕とはもうさようなら
バイバイイエスタデイ ごめんね 名残惜しいけど行くよ
いつかの憧れと違う僕でも
ただ1人だけ 君だけ 守るための強さを 何よりも望んでいた
この手に今
出典: イエスタデイ/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
1行目は「昨日までの自分にさようなら」という意味だと考察できます。
彼自身心地よかったし、きっとそんな彼を周りは求めていたかもしれません。
「期待を裏切るようで悪いけど、もう誰かの、そして自分自身の憧れとは違うんだ。」
そんな晴れ晴れとした気持ちすら感じ取ることができます。
誰とでも優しさを分け合っていたかったというのが主人公の理想でした。
しかしそれでは「君」ひとりすらも守れないことを悟り、「君」だけを守ろうと決めたのです。
そしてそれには今まで自分にはなかった強さが必要でした。
やっと主人公はその強さを手に入れる準備ができたのです。