幸せとは
寄り道は気づかないしあわせの形だね
出典: クリーム/作詞:くじら 作曲:くじら
目的地があるのにも関わらず道草を食べたり、他ごとに気を取られたり。
ですがその何気ない当たり前のような行動こそが幸せであると綴っているのです。
それは自分の気になることを自由気ままにできているからではないでしょうか。
芳しいパンの香りに惹かれたり、美しい花を見つけて蹲み込んだり。
自分の好きなように生きているその時間こそが幸せであり、人生の醍醐味なのです。
悩みや不安に縛られ、好奇心や興味を見失い、 自分が何者であるかも分からなくなっていく。
そんな時は道草を食べることが自分を見つめ直し、自分の好きなことに気づけるきっかけになるのです。
人の幸せとは自分の好きなことを好きな時に好きなだけできること。
この歌詞からは確かな幸せの形を感じ取ることができました。
心が落ち着くのは
変わらない階段と景色を刻んで
まどろみの中へ
出典: クリーム/作詞:くじら 作曲:くじら
そしてそのまま主人公は眠りの中へと誘われていきます。
いつもと同じ情景と道のりを頭の中に投射しながら。
不変的でない情景からは安心感を感じることができます。
親しみ慣れた街並みだからこそ心は安らぎ、落ち着くことができるのです。
変わらない街並みが主人公の心を支え、癒していきます。
あれこれ頭の中で思索していた主人公はようやく安心して睡眠に入ることができるようになったのです。
変化を望む主人公
白い壁が暖かい陽に染まって
綺麗な街をこえているとなんだか悲しくなったんだ
移りゆく景色これからの生活を想って暗がりへ
そっと目を閉じた
出典: クリーム/作詞:くじら 作曲:くじら
先ほどまで真っ白だった壁は気づいたら色を変えていきます。
変わらない街並みの中でも変化していく部分もあるのです。
見慣れた色とは違う色に変わってしまった情景を見て、主人公も変わるということを意識します。
それは今の生活から抜け出し、新しい生活へと変わりたいという願い。
しかし現実は厳しく、自分の思い描いた理想の生活を手に入れることはなかなか叶わないのです。
主人公は心の奥底にしまっていたその感情を変わりゆく街並みによって引き摺り出されました。
すると抑えていた未来への不安やプレッシャーに心が蝕まれていってしまったのです。
誰だって将来は未確定なもの。
その不安を抱くことは誰でもあり、共感できる感情の1つではないでしょうか。
この歌詞からは将来に期待が持てず、現状を打破できないことに苦しんでいる主人公の心情がみえてきました。
主人公の本音
茜色の空の下 子供が笑ってる
夜明けの海に涙沈めた
出典: クリーム/作詞:くじら 作曲:くじら
誰かの幸せを見てしまうと、自分が不幸せであることを比較してしまうものです。
沈みゆく太陽の下で無邪気に遊ぶ楽しそうな光景が主人公の心にはナイフのように突き刺さります。
子供の頃はもう少し悩みごとも少なく、ましてや人生に対しての悩みはなかったのかもしれません。
しかし大人になった今、生活のことやお金、恋愛、将来、充実感などたくさんの悩みを抱えてしまうもの。
主人公が抱えきれずに涙を零すのは誰にも見られない真っ暗になった夜だけなのです。
泣き顔を他人に見せることすらできなくなってしまった。
主人公の心の中に漂う、失望感と喪失感が溢れています。
誰もが抱える人生においての悩み。
この主人公もたくさんのものを抱えながら、必死に毎日を生きていたのです。
【クリーム】歌詞意味解説〜まとめ〜
自分の人生の幸せに気づける
この楽曲は人生の中で自分を見失い、充実した満足のできる毎日を過ごせない主人公の葛藤が詰まった1曲。
歌詞の所々から溢れ出る哀愁と上手くいかないことへのフラストレーションを感じ取ることができます。
それは美しい街の景色を眺めれば眺めるほどに自分の心の中とのギャップから顕著に感じ取ってしまうのです。
甘く綺麗な見た目のクリームだからこそ、くどさを感じた時には嫌悪感が際立つように。
景色があまりにも美しいからこそ、自分の中に抱えたモヤが際立ってしまったのです。
主人公の願いは私たち誰もが抱えるような人生を成功させたいという願い。
しかしその願いを叶えることは難しく、なかなか自分の思い通りにはいかないものなのだと伝わってきます。
その願いを抱えてしまったからこそ感じる苦悩や悲しみがこの楽曲では表現されていました。
ですがそのような苦しみの中だから気づくことができた幸せもあったのです。
何気ない日々への感謝と自由であることの喜び。
自分が好きなことを好きなようにできることがどれだけ幸福でどれだけ素晴らしいかに気づかされるのです。
だからこそ苦しい日々もあるだろうけど小さな幸せを見つけながら努力し続けて欲しい。
願いは簡単に叶うことはないけれど、簡単ではないからこそ心を燃やして挑み続けることができるのです。
この歌は自分の人生に辟易してしまった人に幸せを気づかせ、勇気づけようとしているのではないでしょうか。