「いっそのこと、嫌いになれたらいいのに」

恋人や好きな人にフラれた時、そんな風に思ったことはありませんか?

最低なフラれ方ではなく、優しさも感じるような別れだった方が後々まで未練が残ってしまうもの。

主人公の男性もそうでした。

自分に対する恨みつらみ、それらをぶつけてくれた方が楽だったのかもしれません。

しかし、彼女は主人公に対してできるだけ傷つけないように別れを告げたのです。

そのため主人公は彼女をすぐに嫌いになれることができず、悲しみだけが胸に残りました。

物語の舞台が海岸だけに、3~4行目の別れの例えがとても綺麗です。

別れたその後

想像もできなかった

人はみな 恋の中で 心狂わせる
自らも止められぬほど
坂道を転がるように 突然訪れる
別れなど見えなかった 光で眩しくて

出典: miss you/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

続いて2番の歌詞をご紹介します。

ここでは、別れから少し経った後の主人公の様子が表現されています。

彼は無事別れの悲しみから立ち上がることはできたのでしょうか?

別れから時間が経った頃、まだ主人公は彼女を忘れられないでいました。

別れの言葉を何度も反芻しては、その予兆も感じられなかった自分を悔やんでいるのです。

しかし、それは盲目になってしまう程に彼女を愛していたという証拠。

そんな時期が誰にもあるのではないでしょうか。

もしかしたら、まだ主人公は若いのかもしれませんね。

我武者羅に恋をして、未来を信じ続ける心

大人になってもその心を持ち続けることは容易いことではありません。

主人公にとっては1つの学びかもしれませんが、何だか悲しいことのようにも思えます。

新たな一歩を踏み出せない

君じゃ無い誰かに 心を委ねて 街を歩いても
あなたの影映していた 押し殺した感情なのに
忘れることなど 出来なくて
I miss you so much.

出典: miss you/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

彼女を忘れられない主人公でしたが、何とか気持ちを誤魔化そうとはしていたのです。

恋を忘れるには新しい恋なんていいますが、未練が残っていると上手くいきません。

むしろ他の誰かと過ごしていると元恋人を思い出してついつい比べてしまうなんてことも。

まだ彼女を忘れられるような時期ではなかったのです。

余計に彼女のことが恋しくなり、新たな一歩を踏み出すことはできませんでした。

どんな彼女も好きだった

ただそばで笑い合えていた 何気ないその毎日が
目に浮かぶよ 走馬灯のように
今も 笑顔もすねた顔も 回り続ける
あの時はもう 幻のように

出典: miss you/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

ここでも、主人公は未練を断ち切れずに思い出ばかりを拾い集めて過ごしていました。

彼女が笑った顔も少し自分を困らせるような怒った顔も今思えば幸せの1ページ

きっと普通に過ごしていても、友達といる時や眠る時まで記憶が蘇ってくるのでしょう。

少し女々しいような気がしてしまいますが、これだけ思ってもらえる彼女は幸せだなとも感じます。

主人公が最後に願ったこと

もし願いが叶うならば「もう一度…」なんて言わないよ
出会う前の二人に戻しておくれ
存在さえも知らぬままでいさせて
出逢うはずも無いほど 遠い街へ
想うたびに まぶた震えだす

出典: miss you/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

ここまで彼女を忘れることができなかった主人公。

最終的に主人公が願ったことがここでは描かれています。

その願いは「彼女とまた恋人に戻りたい」という希望ではありません。

むしろ出会わなければ良かったと主人公は思ってしまったのです。

もちろん主人公と彼女には幸せだった時期があります。

しかし、多くの人が幸せな思い出を大切にできるのは、その幸せが続いている時だけ。

幸せが崩れて元には戻れないことを確信した瞬間に、その思い出は苦しみに変わります。

いっそ出会わなければ…と思う主人公の気持ちに共感する声は多いのでは無いでしょうか。

現実には叶うことのない願い。

これからも主人公は彼女を忘れられない日々を送るのでしょう。

いつかその気持ちを昇華できる日がくるのでしょうが、何とも切ない【miss you】の歌詞でした。

美しく、心地の良いメロディー