あなただけなの
夢はハッピーエンド
あなたとお揃いのストーリーがいいの

出典: ハッピーエンド/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

曲名にもなっているハッピーエンドが登場しました。

これは、絵本と照らし合わせると意味が通りやすくなります。

小さい頃に触れる数々の童話では、多くの結末がこうです。

「そうして、お姫様と王子様は末永く幸せに暮らしましたとさ」

ここで示唆されているのは、「末永く幸せに」という未来ではないでしょうか。

また、物語にたとえながら「あなたと一緒に人生を歩みたい」とも伝えています。

歳をとるたび好きになるのよ

出典: ハッピーエンド/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

たったの1文から、多くの意味が感じ取れるフレーズです。

まずは、主人公の想いの年月が分かります。

主人公は学生ではないのでしょう。

もちろん学生も、運命の尊さ、貴重さに思いを馳せることはあるはずです。

しかし思いを秘めていても、年齢を重ねることは考えないと思われます。

主人公は結婚を考える年齢になっているのでしょうか。

さらに、主人公のこれまでの我慢さえも読み取れます。

初めて「あなた」が好きだと思った時、主人公は黙っていました。

それは、一時的な思いだと考えたからではないでしょうか。

だから告白せず、そのまま何年もが過ぎてしまったのです。

ですがここへきて、想いが変わらないことに気づきます。

だからこそ、今度は想いを伝えようとしているのです。

上のフレーズは、実感がなければ出てこない言葉といえるでしょう。

後悔と悲観

一緒に帰れたのに

帰り道同じ時間なら
また一緒に帰ってくれますか?
もっと楽しそうにすればよかったなぁ

出典: ハッピーエンド/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

「あなた」との思い出を振り返っています。

主人公と「あなた」は、帰宅の方向が同じようです。

好意を隠そうとして、逆に素気なく接してしまうのは誰にでもあること。

主人公もつれない態度をとってしまったのでしょうか。

自分の振る舞いを思い返して後悔しています。

悲観する理由

あと1センチが遠いよ苦しい…
だめだ だめだ 期待したってどうせ
ぎゅとされたらそれで済むのに
眠りの中でも目が覚めた時も
隣にいて欲しいの
だからどうか どうか

出典: ハッピーエンド/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

2人がとても親しい間柄であることが、具体的な距離感の描写から分かります。

見知らぬ他人がとても近くにいると不快に感じるものです。

両者の間に1センチしかないとは、かなり接近している様子。

しかし、ハグもキスもできない距離です。

それが主人公に心理的遠距離を感じさせています。

だめだ だめだ 期待したってどうせ
ぎゅとされたらそれで済むのに
眠りの中でも目が覚めた時も
隣にいて欲しいの
だからどうか どうか

出典: ハッピーエンド/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

さらに、主人公は募る想いにまた蓋をしようとも試みています。

これは、恋を諦めるという意味ではないでしょう。

おそらく予防線を張ろうとしているところです。

成功の予感ばかりで向かい失敗すると、ものすごく落ち込んでしまいます。

だからこそ、人は「上手くいかないかもしれない」と思いこもうとするのです。

心の中に失敗の可能性を作っておけば、そのぶん傷つかずに済みます

「ほうら、やっぱり失敗した」と思えるからです。

何年も思い続けている時点で、簡単に諦めがつく気持ちではありません。

好意は変わらずにあります。

最後に想いを確かめて

「何もいらない」のはなぜ?

明るい星に隠れて魔法のキスして
もう何もいらないから
ハンバーグが好きなあなた
73億分の1のあなたじゃなくちゃ
あなたじゃなくちゃ だめなの

出典: ハッピーエンド/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

主人公の想いに想像が混ざり、大きく膨らんでいきます。

ここでポイントとなるのは上から2行目です。

先ほどまでは「一緒に人生を歩みたい」など、未来を考えていました。

今度はいらないと言います。

これは、主人公の想いが現在に固定されたことを意味しているのではないでしょうか。

人間の思考は無意識のうちに様々なことを考えるものです。

具体的に思考の内容を捉えようとすると、大きく2種類に分けられます。

過去と未来です。

実際にこの主人公もそうですね。

一緒に帰った時のことを思い煩ったり、「一緒に将来も過ごしたい」と考えたり。

楽しい想像を膨らませるのは気持ちの弾むものです。

ですが未来を思い煩って気持ちを落ち込ませるのは、現実何の得にもなりません。

実際に起きていることではないからです。

主人公はたくさんの考えの中から、「自分の現在」を見つけました。

それは「あなたが好き」という想いです。

ここには「一緒に帰った」過去も、「一緒に過ごす将来」もありません。

今ここにいる主人公にとっては、想いだけが現在の真実。

未来に想いを馳せることはあっても、それは今すぐ欲しいものではないのです。

だから、「今は」欲しいものはなにもないことになります。

主人公の望みは、自分の想いを伝えることだけだからです。