青春時代の複雑な恋情

上白石萌音【永遠はきらい】歌詞を徹底考察!突き放したいの?愛されたいの?主人公の本音が気になる…の画像

簡単には白黒つけられない青春時代の恋を描いた、上白石萌音さんの『永遠はきらい』。

燃え上がるような恋がしたい。

だけど、今の恋が永遠に続くわけではないのだと、どこか冷静に悟っている。

子供と大人のちょうど境目にいる青春時代ならではの複雑な心情です。

青春時代とは、短いからこそ強く輝くものなのでしょう。

その一瞬の輝きを求め、若者たちは今しかできない恋愛をします。

永遠の愛はいらない。

だから今、好きと言って。

まだ幼くも、エネルギーに溢れた曲となっています。

恋する乙女たち

MVでは上白石萌音さんが、タイプの異なる3人の少女を演じながら歌っています。

赤いワンピースと赤いハイヒールを身につけた上白石萌音さん。

黒いワンピースを着て、丸眼鏡をかけた上白石萌音さん。

白いワンピースの上にジャケットを羽織った、3人の中では最もカジュアルな服装の上白石萌音さん。

性格や育った環境が違っても、青春時代を送る少女というのは、みんなどこか儚い美しさを持っています。

キラキラと輝いていて、同時に少し危なっかしくも見える。

そんな少女たちが楽しむ恋愛もまた、同じように輝きと危うさを持っているのでしょう。

MVの中で印象的なのが、少女たちが伝言ゲームのようにフレーズを繋いでいくシーン。

これは、女の子にしか分からない複雑な乙女心を打ち明けあっている様子なのかもしれません。

恋する乙女たちのはにかんだ笑顔を、上白石萌音さんが見事に表現しています。

青春が終わっていく

ここからはYUKIが作詞した歌詞について、解釈していきます。

この曲の主人公は、青春の真っ只中にいるというよりは、もうすぐ青春時代を終えようとしている年齢。

そしてそれを、主人公本人も自覚しているようです。

青春が過去のものになってしまう前に、何か素晴らしい思い出をつくりたい。

主人公がしている恋は、初めから思い出になることが分かっている恋でした。

死ぬまで恋していたい

神様 お疲れ様
死ぬまで 恋していたいよ

出典: 永遠はきらい/作詞:YUKI 作曲:n-buna

独特の感性を感じる冒頭の歌詞

「神様」というのは、自分の力ではどうしようもできないすべてのことを表しているのかもしれません。

例えば、過去に起きてしまったことだったり、1人1人に与えられた運命だったり……。

きっと恋も、自分ではどうしようもできないことに分類できるはずです。

人は意識して、恋をするわけではありません。

自分の意志とは関係なく、気づいたら恋に落ちていた。

望んでいなかったとしても、人は何度でも恋に落ちてしまう生き物です。

主人公は、自分の力ではどうしようもできない「恋」というものを、死ぬまで続けたいと言っています。

それをまるで友達に話しかけるように、神様に報告しているのかもしれませんね。

ラブレターは捨ててしまった

ミレニアムに生まれた鼓動
束になって 校舎を正装
隣で泣きじゃくる 彼女
親がお金持ちだって イイじゃん
生徒会長 君と2人
茜射す なんか好い感じ
だけど くれたラブレター もう捨てちゃったの

出典: 永遠はきらい/作詞:YUKI 作曲:n-buna

1行目の歌詞は、おそらく西暦2000年に生まれた今の若者たちのことを言っているのでしょう。

この曲がリリースされたのは、今年2019年。

西暦2000年生まれの人が、19歳になる年ですね。

つい最近まで高校生だった若者にとって、青春時代はまだ過去と呼べるほど遠いものにはなっていないはず。

「束になって~」からの歌詞は、もしかしたら卒業式のことを歌っているのかもしれません。

別れの日の彼女の涙だって、まだ記憶に新しい。

彼女が泣いたのは、将来のことで家族と揉めたからでしょうか。

そんな想像が広がります。

そして主人公は、生徒会長と何やら良い雰囲気になった様子です。

卒業式に告白でもされたのかもしれませんね。

しかし主人公は、せっかくもらったラブレターをすでに捨ててしまったようです。

君の気持ちを試したい

友達には内緒ね 試したいの 君を
―永遠は きらい―

出典: 永遠はきらい/作詞:YUKI 作曲:n-buna

主人公がラブレターを捨てたのは、つれない態度をとっても君が自分を愛してくれるか試すため。

こんな風に人の好意を確かめようとしているなんて、友達にも言えません。

もうすぐ終わろうとしている青春時代。

君との恋は、青春が終わっても続くでしょうか?

主人公が「永遠はきらい」と言うのは、永遠を期待してがっかりしたくないからなのかもしれません。

しかし、永遠の愛なんて信じないと大人ぶってみても、やっぱり恋したい気持ちはある。

主人公の胸には、恋の始まりに浮かれる心と、現実を見据えた冷静さが混在しているようですね。

記憶に刻みたい