シングル『蝶』のカップリング
ボーカリストyasuさんのソロプロジェクト、Acid Black Cherry。
数多くのオリジナル楽曲を生み出してきた一方で、既存楽曲のカバーにも力をいれていたyasuさん。
彼はこれまでに、4枚ものカバーアルバムをリリースしてきました。
久宝留理子さんの大ヒット曲『男』
これはもともと、1993年に久宝留理子さんという歌手によってリリースされた楽曲です。
彼女が9枚目にリリースした作品なのですが、当時50万枚以上を売り上げ大ヒットを記録しました。
アップテンポで激しいナンバーなので、ライブなどでも非常に盛り上がる1曲だったようです。
『男』は女性目線で歌ったナンバー
この楽曲では、恋する女性が相手の男性に求めることを赤裸々に綴っています。
例えばあなたなら、好きな相手にいったい何を求めるでしょうか。
歌詞中には、女性ならきっと共感できる人も多いであろう「男性に求めること」がたくさん登場します。
しかしこの楽曲が面白いのは、ただ「求めること」を羅列しているわけではない、というところ。
相手に強い反発心があるのか、よほど不満が溜まっているのか、トゲを帯びた言葉が並んでいるのです。
そんな、ちょっぴり毒々しさのある楽曲『男』を詳しく解説していきます。
大好きなあなたへの不満
もっとやさしくして
何食わぬ顔して 違う女の話をしないで
少しやさしさが たりないんじゃない
悲しいこと つらいこと ある時だけ あまえてこないで
私はあなたの ママじゃないのよ
出典: 男/作詞:久宝留理子 作曲:伊秩弘将
早速、女性が男性に求める要素が登場していますね。
というよりも、この要素は性別関係なく誰もが求めるものかもしれません。
ここで語られている要素は、「やさしさ」です。
この楽曲に登場している男性は、自分に好意を寄せてくれている女性の前でタブーを犯しました。
1行目で綴られている内容が、まさにそれです。
これは女性に限らず男性でも、好意を寄せている相手にされたら嫌悪を抱く対応だといえるでしょう。
それにもかかわらず、何も気がつかないフリをしてしまった男性。女性はちょっぴり怒り気味です。
しかしもしかすると、その話をしている男性は見栄を張りたいだけなのかもしれません。
それは「自分はこれだけ異性にモテるのだ」という虚勢をはって、女性の気を惹きたいのです。
(たとえそうだとわかっても、女性からしてみればやはり話されるのは嫌なものですが…。)
そして3~4行目からも、男性のやさしさが足りていない様子が読み取れますね。
機嫌がいい時にはほかの女の話をし、機嫌が悪い時には好き放題に甘える。
いつでも味方で無限の愛を与えてくれる、母親のような存在と勘違いしているのかもしれません。
しかしここでも綴られているように、女性側はそんな都合のいい女になるつもりは毛頭ないようです。
自分勝手はやめて
背中を向けたまま 疲れたよと眠る
身勝手な癖 いいかげんもう 冗談じゃない
出典: 男/作詞:久宝留理子 作曲:伊秩弘将
ここでも引き続き、男性側の身勝手な行動が描かれています。
男性と女性はすでに一緒に暮らしているのでしょうか。
女性は夜ベッドに入ってから、今日起こった出来事を話したかったのかもしれません。
あれが楽しかった、あれが大変だった、あれが…これが…と、話を聞いてもらいたかったのでしょう。
多くの女性は話すことが大好き。特に大好きな男性には、自分の話をたくさん聞いてほしいと思うものです。
ポジティブな時には2人で分かち合いたい。ネガティブな時にはその気持ちを半分背負ってほしい。
心の奥底では、そんな想いもあるのかもしれませんね。
しかし残念ながら、男性にその気は全くありません。
自分はつらかった時、大変だった時、自分はぐちぐちと話し続けるくせに、わたしの話は一切聞いてくれないのね。
そんな、悲しみよりも呆れる気持ちが勝っているような、考えることに疲れた女性の様子が目に浮かびます。