この言葉は、彼女の言動を表しています。
1番ではさまざまな言動をとって彼氏を悩ませているようすを表す意味で書かれていました。
しかし、2番では彼氏の真実を知り動揺しているようすを表す意味としてもとらえることができます。
同じ言葉でも異なる意味を含ませる、ましてやそれをラップ調の漢字の組み合わせで表現する。
こんなことが可能な人間は、八乙女以外にはほとんどいないのではないでしょうか。
SEや楽器にも徹底的なこだわり
作詞だけではなく、作曲も手がけた八乙女。
曲中のさまざまな「音」にもこだわりがみられます。
強い印象が残るのは、「笑い声」でしょう。
1番ではサビ前に女性の笑い声が挿入されていますが、2番ではそれがありません。
笑い声がなくなったことから、彼女の余裕がなくなったことが予想されます。
むしろ、2番では耳を澄ませば彼氏の笑い声が聞こえてきそうではありませんか?
あえて「無音」を取り入れることによって、狂気的な関係や状態が連想されます。
ガラスからは、さまざまな連想
ガラスの割れる音が1番と2番の最初にあります。
1番の音は彼女の乱れたようすを表しているように感じられます。
何かに当たったか、何かを投げたかなどで、物が割れた音でしょうか。
対して2番の音は、彼氏の本性が明らかになるようすを表しているように感じられます。
ガラスが割れ、その向こうにある隠された真実が発覚する演出として用いているのかもしれません。
楽器の音にも創意工夫
イントロのリフとサビのリフも同じ音が使われています。
違ったメロディーなのに、同じリフに「戻って来る」。
これはタイトルの「Come Back…?」を思わせる工夫ともとらえられます。
収録できるすべての音に徹底した創意工夫をこらしている八乙女のセンスには脱帽です。
よく見ると違う歌詞。「?」の有無にお気づきですか?
「鈍」「廃」「奇」「美」「乱」
どうした? 君の散乱する愛
I'm a liar 後悔の理論 後退の意図
Come Back...? 何か?
出典: Come Back...? /作詞:八乙女光 作曲:八乙女光
1番では「…」で終えられている歌詞。「…」をつけることで男女の関係の深みが増します。
この歌詞が2番では「…?」と、「?」が加えられていることにお気づきでしょうか。
彼氏の本性を知る前は、「戻ってきて…」とお願いしたら願いが叶うことをわかっていた彼女。
それが、彼氏のCome Backが演技であったことがわかってからは立場が一変します。
「?」には、「本当に戻ってきてくれるの?」「戻ってくる…よね?」という不安や焦燥があらわれています。
「何が?」と「何か?」
この解釈がとても深く、難しいものです。
1番の「何が?」という表現からは、彼氏と彼女の近い関係性が読み取れます。
彼氏が彼女のもとへ戻り、「何が戻ってきてなの?僕はここにいるよ?」と話しているように推測できます。
これが、2番では「何か?」という、どこか他人行儀的な表現になっています。
もう彼女に溺れることはない彼氏の、何か強い決意のようなものが感じられます。
「うんうん、またこないだと同じように戻ってきてあげるけれど、何か?」
「戻るも何も、もう心はここにありませんが何か?」
これらのような、どこか冷めた感情ややり取りまでも連想されます。
濁音を1つ抜くだけで、ここまでニュアンスが変わるものなのです。