ヒップホップで歌う童子-Tのラブソング
若手ミュージシャンとのコラボ
ヒップホップ好きな音楽ファン以外で童子-Tという変わった名前のアーティストをご存知の方はどれだけいるでしょう。
Tは本名・竹末の頭文字なのはわかります。
童子(どうじ)は子供という意味だけでなく仏教や神道でいう神や仏の使いという有難い存在でもあります。
ヒップホップという現代の音楽に、古くから使われてきた呼称を合体させた名前の童子-T。
この名前からして従来のヒップホップとは立ち位置の違いを感じさせます。
童子-TがヒップホップユニットのZINGIから独立して以降。
ソロで活躍するようになってからの曲はラブソングがメインになっていきました。
それと共に駆け出しのアーティストを積極的にフューチャーしています。
加藤ミリヤしかり、BENIしかり、そして「ONE LOVE」の清水翔太。
将来性のある若いミュージシャンを発掘する才能にも長けている人なのです。
「ONE LOVE」は童子-Tがラブソングでヒップホップをひた走っていた最中の2007年に発表された11枚目のシングル。
次作「もう一度… feat.BENI」はオリコンチャート6位という自身にとって最高のヒット作になりました。
清水翔太とのコラボ
デビュー前のアーティストと共演
「ONE LOVE」で共演した清水翔太はシングルがリリースされた時点では、まだ正式なデビュー前でした。
今ではR&Bのシンガーソングライターとして根強いファンの人気を掴んでいる清水翔太。
童子-Tは20歳も若い新人の才能を見抜き、自分のパートナーとして抜擢しました。
堂々とした歌いっぷりの清水翔太

まずはMVをご覧ください。
黒ずくめの童子-Tと対照的な白シャツ、黒ネクタイ、黒いハット姿の清水翔太。
下手をすれば親子ほどの年齢差を感じさせない存在感が清水翔太にはあります。
メランコリックなピアノを基調に童子-Tのラップに清水翔太の歌が重なり、一途な恋を歌い上げる。
これが童子-Tのスタイルです。
MVの劇中に出演している女性はどこかで見た顔なのですが、どうしても名前を思い出せません。
男優さんはクレジットがありませんが「もう一度… feat.BENI」で黒川智花と共演した春日潤也ですね。
ファッションモデル兼俳優さんです。
愛する喜びを歌った「ONE LOVE」。
それに対して終わった恋を振り返りもう一度あの頃に戻りたいという「もう一度…」。
二つの曲は対になっているように思えます。
シングル「もう一度… feat.BENI」のカップリング曲として「ONE LOVE feat.清水翔太<'08ver.>」が収録されています。
このことからも二つの曲の間に関連性が伺われます。
リプライズされる曲のテーマ
世界で唯一の存在
それでは歌詞を掘り下げていくことにします。
この世界でたった一人だけ
出会って俺が俺らしく
変われて 嬉しくて
かけがえない ONE LOVE
あの頃の後悔も
泣きすぎて腫れた目も
今 二人振り返る
かけがえない ONE LOVE
出典: ONE LOVE/作詞:童子-T,清水翔太 作曲:童子-T,清水翔太,813
ピアノソロに続いて清水翔太の歌パートで始まるこのフレーズは、この後に3回リプライズします。
なので、この部分が曲の核心テーマといえるでしょう。
童子-Tが歌詞の主人公についての物語を歌う。
そしてフィーチャリングのアーティストが曲のテーマを歌うという。
これがゲストアーティストを迎えた童子-Tのパターンのようです。
彼女と出会って自分は変わった。
自分らしく変わったのは、人を愛して自分の中にあった優しさや喜びに気付くことが出来たということです。
自分一人の悩みも二人で共有すれば、いろんな意味で冷静に見つめ直せます。
そのように自分を変えたこの愛。
自分にとって彼女は唯一の存在で、この世界に彼女一人しかいません。
だからこそONE LOVEなのです。
本来ONE LOVEには、もっと広い人類愛という意味があります。
つまり絶対的な愛という意味が込められています。
この曲では、それが彼女一人に向けられているのです。
シンプルな言葉ですが、とても強い意味があります。
そのためアーティストの琴線に触れる言葉なのでしょう。