ソウル・ミュージックをバックボーンにもつ、実力派アーティスト
清水翔太の魅力のひとつに日本人離れした歌唱力があります。
2007年にはNYにある音楽の殿堂『アポロシアター』に、平成生まれの日本人として初めてステージに立ちました。
それだけでも快挙ですが、音楽に厳しい地元新聞から「生まれながらにしてのソウル・シンガー」と絶賛されたとなれば、清水翔太の歌声がなぜわたしたちの心を揺さぶるのか納得できますよね。
その基礎を支えているのが地元大阪で学んだゴスペル。
ゴスペルの魅力に虜になった彼は、自ら作詞・作曲まで手掛けるようになりました。
「深い世界観を歌い上げるポップスから軽快なラップまでこなせるのは清水翔太だけ」と言っても過言ではない希少なアーティストなんですよ。
HOMEの歌詞を紐解こう

曲の核心は最初にあり
今更帰れないよ あの場所は
どんな素敵な思い出も
心にしまっておくべきなのさ
今でも思い出すよ それでいいんだ
心配ないよ まだ歌えるよ
いつか帰るよ 僕だけの HOME
出典: HOME/作詞:清水翔太 作曲:清水翔太
HOMEはサビから始まり、曲中で何度も繰り返される一番重要な歌詞です。
生まれ育った場所や長く住んでいた場所がふと、懐かしくなったとしても「あの日、あの時」には戻れません。
思い出に浸ることは悪いことではなく、過去の自分に「大丈夫、心配ないよ。僕はまだ歌える(=歩いていける)よ」と微笑みかけているような優しさと強さが感じられる歌詞になっています。
HOME=家、故郷だけではない!?
ここでタイトルにもなっているHOMEに注目してみましょう。
HOMEはご存知のとおり家や家庭、故郷や地元など様々な意味を持っていますが、この曲では「心の中の家=自分自身の核」という深い意味まで含んでいます。
思い出や体験、譲れないものなどが詰まったあなただけの宝箱がHOME。
そう置き換えてみると、ますます魅力的でより共感できる世界が広がるように思います。
理想と現実と、苦い過去
急な通り雨
募る苛立ち心に掃き溜め
あれからいくつの季節を超え
でもまだ聞こえてくる故郷の声
格好つけて飛び出した
別れ惜しむ人達裏切った結果になった
こんなボロボロの夢
1人じゃどうしょうもなかった
出典: HOME/作詞:清水翔太 作曲:清水翔太
夢を追い地元を飛び出したけれど、すぐに夢が叶うわけではなく悔しい思いやもどかしさに心がかき乱される日々。
そんなとき、さらに胸を締め付けるのが地元で応援してくれる人たちの存在です。
なかなか芽が出ず焦る中、月日が流れても連絡をくれる家族だったり、友人、仲間だったり、かつての恋人だったり……。
理想と現実の間でボロボロになっているとき、その優しさが逆につらいという心情が痛いくらい伝わってきますね。
新しい居場所、新しいHOME
苦しくて悔しくてつらいときに出会った人々。
次第に新しい世界、居場所ができ自分らしさを取り戻していく姿が、清水翔太の基礎であり持ち味であるR&Bのリズムに乗せてリズミカルに表現されています。
僕は同じ日々生きた仲間達や
隣にいてくれた恋人や
それを失ってでも かなえたい夢
それも失ってでも また思い出させてくれた
新しい僕のHOMEがここにある
でもまだ思い出す
出典: HOME/作詞:清水翔太 作曲:清水翔太
夢のために故郷を出たことで失ったそれまでの日常や仲間達、恋人。
失ったと思っていたけれど、新しく出会った仲間との中に自分の居場所を見つけ、
何でも話せる心安らげる場所と、心地よさを思い出させてくれた。
新しいHOMEができたけれど、だからといって昔の仲間達を忘れたわけではない。
どちらも大切な場所という、切ない気持ちが伝わってきますね。
そうやって成長しながら、泥臭くもがいて、惨めになって、だけど夢に向かう途中に見える景色はやっぱり綺麗で、輝いていて。
うまくいかないけれど、それでも絶対かなえたいんだ!とモヤのかかったような道を必死に進むリアルな姿が、そこにはあります。