『DISCOVERY』というアルバムの位置づけと、表題曲の役割

『DISCOVERY』というアルバムを評価するべきか?

Mr.Children【DISCOVERY】歌詞の意味を考察!曲が描く世界とは?何を発見するのかの画像

Mr.Childrenは日本を代表するロック・バンドです。

日本中のほぼ100%の人がそれは間違いないと言うでしょう。

では、代表曲やアルバムは何か?

そう聞かれて『DISCOVERY』を挙げる人は多くないのではないでしょうか?

なぜなら全体的にダークな印象のアルバムであり、一般受けしません。

代表曲『ニシエヒガシエ』『光の射す方へ』『終わりなき旅』は暗めの印象の楽曲です。

しかしながら、ミスチルのダークサイドすら愛するコアなファンには『深海』と並び高い評価を受けています。

実は桜井さんが「迷走していた」と本アルバムについて語っていました。

それすら愛おしいのがファンの評価といえます。

したがって、本アルバムを聴くべきです。おすすめします!

表題曲『DISCOVERY』とそっくりな曲が存在する?

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さて、本アルバム『DISCOVERY』を論じるときに引き合いに出されるのが洋楽ロックの影響です。

U2・レディオヘッドの影響を受けており、これについては後述します。

当時、オリジナルでないのはいかがなものかという人もいました。

しかし、ファンはミスチルが受けた影響をどんどん深掘りしていくものです。

ミスチルファンに課される「踏み絵」ともいわれるミスチルのダークサイドとは?

当時桜井さんが置かれていた心理状態とこれらの音楽に求めた救済を、歌詞から探っていきましょう。

さっそく歌詞を紐解いてみましょう

悩みながら歩む姿

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空き缶を蹴り飛ばして
悲しみをポケットにしまって
振り向かずにDISCOVERY
険しくとも歩みゆく
ただ君の手を取って
真直ぐにDISCOVERY

出典: DISCOVERY/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI

楽曲が描くのは、明らかに悩み苦悩する姿です。

子どもがやるように空き缶を蹴る姿が描かれます。

また、悲しいことを消すことはできませんが、ポケットにしまってとりあえず忘れようとしています。

見たくないものをとりあえずポケットにしまうというのも子どもっぽい行動です。

しかしながら、悲しみを常に携帯して忘れないようにするという思いを読み取ることもできます。

そして、日々を過ごすのが辛いようです。

しかしそれでも険しい道を歩いて行きます。

主人公には、愛する人がいるようです。

その人の手をとって進もうと決めます。

愛する人はいても、ハッピーな状況ではありません。

無邪気に喜べる幸せではないけれど、この人と生きていく。

この曲を書いたとき、桜井さんもそんな状況だったのでしょうか。

曲が描く世界とは?

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夕立に襟を立て
水たまりに自由を写して
僕らなりにDISCOVERY
大切な人を失くして時が流れ忘れ
浮かばれんがDISCOVERY

出典: DISCOVERY/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI

主人公の心には雨が降っています。

雨が降った水たまりに映し出されるのは自由です。

水面に自由が映るということはつまり、その自由はあいまいでつかみどころのないもののように描かれます。

ここに描かれるのもやはり、苦悩です。

また、大切な人をなくしたとあります。

桜井さんにこのような事実があったかどうか、調べても出てきません。

当時何か事情があったのか、それとも別れを経験したと考えることもできます。

人間というのは、良くも悪くも忘れてしまう生き物です。

死別にせよ別離にせよ、時が経てば忘れてしまいます。

そうやって精神を保っているのです。

しかし、今主人公は忘れてしまうことに対して苦悩を感じています。

忘れることに対する思いが「浮かばれない」という一言です。

しかし何かを発見するといいます。

何を発見するというのでしょうか?

何を発見するのか?

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大地を切り開いて魂を解き放て
成せば成るDISCOVERY
心に翼を持って
この愛を両手に抱いて
振り向かずにDISCOVERY
DISCOVERY DISCOVERY DISCOVERY
DISCOVERY DISCOVERY DISCOVERY

出典: DISCOVERY/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI

ここで主人公は希望を見いだしていきます。

1行目は、まるでモーゼの『十戒』のようです。

これを読まれている方は、すべての希望を失ったような気持ちになったことがあるでしょうか?

何をやっても八方塞がりで、友人もいなくなり、家族に見放されたようなことです。

そういうときに自分自身の中の変化が救済になります。

「成せば成る」「心に翼」という言葉がキーワードです。

自分の中に変化を見いだしたことが描かれます。

まわりは変えられなくても自分自身は変わることができる

一番大きな発見だといえるでしょう。

それがわからないと愛する人がいても幸せにできませんから。