記憶のまま変わらない君
怒ってくれない 解ってくれない
思ってもただ 募ってしまうだけ
懐かしい匂いと この歌が残る
出典: 色香水/作詞:神山羊 作曲:神山羊
サビの後半部分の歌詞です。
思い出の中の君は、今の主人公に対して何かをしてくれることはありません。
過去の思いをひきずっている自分に対して、怒ったり理解をしてくれたりはしないのです。
そのことを歯がゆく感じながらも、思い出なのだから仕方がないとも諦めているのでしょう。
主人公はただ、君との思い出を思い返しては懐かしさや思いを募らせてばかりいるのです。
募る未練
すぐ側で過ごした時間
記憶の中では 二人の部屋
惹かれ合えば僕ら
このまま
思い出せば今も ふわっと香る
君と僕は同じ 色香水
出典: 色香水/作詞:神山羊 作曲:神山羊
2番も君との思い出を思い返しているシーンから始まります。
一緒に過ごした時間の中で真っ先に思い出すのは、2人きりで過ごした部屋のことです。
そこでの思い出は主人公にとって忘れがたい、大切な思い出なのでしょう。
そして記憶とともに君と過ごした中で感じていた匂いも思い出しています。
人の匂いは互いに近くなればなるほど強く感じることができるものです。
主人公は、君の匂いをふわりと感じられるほどの距離感で過ごしていたと考えられます。
君の匂いを主人公は覚えているのです。
そしてその匂いは形のない絆の象徴でもあると読み取れます。
忘れてしまう思い出と消えない思い
失うほど 優しさすら嫌になって
ビー玉の中 こぼれ落ちる涙のよう
出典: 色香水/作詞:神山羊 作曲:神山羊
どれだけ大切な思い出だとしても、人の記憶力には限界があります。
時間が経つほどに思い出は薄れてしまうものです。
そうして君との思い出を忘れていけば、告げられなかった思いも完全に忘れることができるかもしれません。
しかし思い出のようには君への思いを忘れることができないのでしょう。
どうしても忘れられない思いを抱えながらも、思い出だけが薄れていくというギャップを抱えているのです。
いっそ思いも忘れてしまえられたら、思い出を忘れることも辛く感じないかもしれません。
しかし記憶の中の君の優しさが、思いを忘れさせてくれないのでしょう。
忘れてしまうことができないことが辛く、主人公を苦しめているように感じられます。
その泣きたいほどの辛さを主人公は抱えているのです。
君への未練
きっと消えない 今日は言えない
元どおりにはもうできない
あの夏に隠した 本当はもう
怒ってくれない 解ってくれない
思ってもただ 募ってしまうだけ
新しい匂いと この街に残る
出典: 色香水/作詞:神山羊 作曲:神山羊
2番のサビの歌詞です。
主人公は君への思いを忘れることはできないまま、今までずっと思いを抱えてきました。
しかしそれは今さら告げることのできるものではないのでしょう。
行き場のない思いを抱えたままで、それでも人生の歩みを止めることはできません。
君とは別々の人生を歩みながら、主人公は君のいない新たな思い出を積み重ねています。
別々の人生を歩むのであれば、君と過ごした街から出て新しい土地で過ごすこともできるはずです。
それでも、主人公は君との思い出がつまった街から出ずにいます。
それは主人公の君への未練を抱えていることの象徴だと考えられるでしょう。
後悔として抱える恋
今も抱える後悔
いつか いつか
口をついたこの嘘が
一つ残らず本当になって
どうか どうか
繰り返し唱えていた
君が透明になったまま
出典: 色香水/作詞:神山羊 作曲:神山羊
主人公はおそらく一度もきちんと思いを告げたことはなかったのでしょう。
何かの拍子に本心を伝えていても、誤魔化してしまっていたのだと考えられます。
そのことを主人公はずっと後悔しており、今になって本当になればよかったのにと思っているのです。
しかし、君との関係はもう戻ることはなく、どれだけ願ってもその思いを遂げることはできません。
君との新しい思い出を作ることはできず、今の君を知ることもできないのです。
想像するしかできない、実体をもたない君のことを「透明」と例えていると考えられます。
叶わないと知っていながら、それでも願わずにいられない、切ない恋が感じられるでしょう。