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「君は悪くない、僕が悪い」という言葉はずるいものです。

一見自分を責める優しい言葉のようで、「別れる理由に君は関係ない＝だから君が何をしようと別れると決めている」という、相手にはどうしようもない事実を突きつけます。

そんな別れの言葉を使うのは、大抵の場合、他に好きな人ができたときでしょう。

そんな言葉を告げられた側はいくら自分が悪くないと言われても、「私が『あの子』みたいだったら良かったの？」と考えてしまうのではないでしょうか。

自分ではどうしようもない別れの理由を告げられて、つい自分そのものを否定して考えてしまいます。

主人公は「あなた」に自分の名前を呼んでもらったその声を思い出しながら、もう呼んでもらえなくなる事実に深い悲しみを感じています。

「震える肩」には曲の最初で怯えていたときとは違い、明確な悲しみの感情が乗っているのではないでしょうか。

主人公の今にも泣き出しそうな様子が伝わるその光景は、いくら別れを告げられてもそう簡単には気持ちを断てない未練が表れています。

別れの場所は街中から離れた静かな場所なのでしょう。街の灯りが遠く、星もあまり見えない夜の暗闇は、余計に主人公の孤独を煽ります。

主人公の「青いスカート」は、「あなた」が好きな色を意識したものでした。

それほど「あなた」の恋人としての自分を重要視して生きていた主人公に「私じゃなくて、あの子がいい」という現実が残酷に突き刺さります。

捨てきれない望みを抱えたままの主人公。

「あなた」を引き止めるのがもう無理だと分かっていても、願わずにはいられません。

もう「あなた」は主人公の方を見ません。主人公だけが一方的に見つめています。

そんな「あなた」の様子がきっかけになったのか、「さよなら」と諦めたように呟く主人公。

しかし一見諦めたようで、別れの言葉の後には「あなたがここに帰って来ますように」という諦めの気持ちがつかない願いが呪いの言葉のように続きます。

今はどうしようもないと分かって、それでも望みを捨てない主人公のいじらしさが印象に残る終わり方です。

いかがでしたか？

どこまでもいじらしく切ない別れの様子が、まるでその場を見ているかのようなリアルな言葉で描かれる「fish」という曲。

その歌詞や感情を煽るメロディ・サウンドには、失恋ソングを得意とするback numberの表現力が存分に表れています。

哀しい気持ちに浸りたいとき、美しいメロディを聴きたいとき、back numberの「fish」を是非聴いてみてください。