楽曲について
ウォルピスカーターの楽曲『泥中に咲く』。
YouTube上では再生回数2200万回を超える大ヒット曲となりました。
作詞作曲を務める針原翼(HarryP)の共感性の強い歌詞と突き刺さるメロディー。
そこにウォルピスカーターさんの特徴であるハイトーンボイスが加わります。
まるで映画を見ていたかのような聴いた後の余韻が強烈な魅力。
そんな歌詞に込められた「生」についてのメッセージを紐解いていきます。
ネガティブでも想いは強く
極限の心
砕けた心が濾過(ろか)できなくて
涙はそっと枯れてゆく
もう一粒も 流れなくて
可笑しいよねって 笑ってる
出典: 泥中に咲く/作詞:針原翼 作曲:針原翼
楽曲の開始から、耐え続けている極限の心情が描かれています。
痛みつけられて、絶望に溺れ果てた先には絶望を象徴する「渇いた笑い」だけが出る。
その中に、「受け入れないといけない」「まだ大丈夫」と虚勢を張る姿も感じられます。
人物を指す単語としては「あなた」「君」「僕」などが登場します。
これらは具体的に誰を指すものではないと解釈します。
言い換えれば誰の心にも届くような歌詞構成になっているということです。
人物を指している単語を全て自分と置き換える。
そうすることでこの楽曲に込められているメッセージが痛いほどに伝わってきます。
誰よりも純粋で真っ直ぐ
酷烈な人生
あなたを遮る迷路の荊棘(けいきょく)
濁世(じょくせ)の闇立ちはだかる
君は誰よりも憂う人
出典: 泥中に咲く/作詞:針原翼 作曲:針原翼
歌詞を紐解く前に、2つの難解な単語についてみていきます。
歌詞2行目の「荊棘」は棘の立った道という意味。
そして「濁世」とはけがれの多い世の中を指しています。
そんな中で感じた、誰よりも自分の人生に真面目な君の姿。
どれだけ不幸を被っても、自分を救い続けようと願っています。
消えない虚無感
だから今 僕らは溺れかけてる寸前だろう
正しい呼吸に救われた
今はいつか死ぬために生きてるだけだ
出典: 泥中に咲く/作詞:針原翼 作曲:針原翼
注目すべき歌詞は2行目です。
ここでは生きるために行う呼吸で命を取り留めたといっています。
これまでの歌詞を解釈すると、苦しんでいたのは人生そのもの。
極限の死と隣り合わせだった状況からは解放されたけれど、本質的には何も変わっていません。
しかし、ただ生き長らえている現状でも幸せに感じている。
それほどに辛かった過去があるといっているのです。
ただ息をするだけの無力感と未来への莫大な虚無感がひしひしと伝わってきます。
諦念しない生き様
無数の闇
雨が嫌いなわけを知ると
深いところで思い出すこと
そう 大粒のシャボン玉なら
きっとふわふわでしとしと
出典: 泥中に咲く/作詞:針原翼 作曲:針原翼