真っ白な群れに悪目立ちしてる
自分だけが真っ黒な羊
と言ったって同じ色に染まりたくないんだ
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
主人公は全てを自分の観た世界、自分の解釈の中で片付けようとしている感もあります。
それは一面、正しいことです。
なぜなら、完全に同じ考えの人は世の中にはいないから。
一つの出来事に対する解釈はひとりひとり違うからです。
ただ、その違いに対して納得がいかない、自分の正しさを証明したい。
そんな思いも垣間見えます。
自分の意見を持っているのに、それが認められないことに対して強い反抗心があることが分かる歌詞です。
主人公の中に自分を貫き通すという信念が存在しているということが端的に分かる歌詞だといえます。
自分との会話
薄暗い部屋の明かりつけるタイミングって一体いつなんだろう?
スマホには愛のない過去だけが残ってる
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
人は、一日に自分との会話を何回もしています。
無意識の中からぽつんと浮かび上がる言語化されたもの、それが「独り言」です。
夕暮れ時のことです、スマホの画面が意外と明るかった……
主人公はそこに気がついて、部屋の電気をつける時間を思い立ったのでしょう。
しかし、そのスマホが表示しているものに、主人公は愛を感じなかったようです。
人間関係の答え合わせなんか僕には出来ないし
そこにいなければよかったと後悔する
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
スマホに表示されていたのは、他愛のない集合写真だと思われます。
しかし、そこにいた自分の表情が周りの人と違うことに気がつく主人公。
自分と周りとの関係、自分はどう振る舞えば良かったのか。
そんな葛藤をすること自体にも、主人公は嫌気がさしているのです。
アイデンティティー
人生の大半は思うようにはいかない
納得できないことばかりだし諦めろと諭されてたけど
それならやっぱ納得なんかしないまま
その度に何度も唾を吐いて
噛みついちゃいけませんか?
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
主人公は否定することで自分のアイデンティティーを保とうとします。
その一方で、その否定の先に何が待ち受けているのか?
それはもしかしたら、まだわかっていないのかもしれません。
諦めているようで諦めていないし、目の前にある愛は否定する。
しかし、心の奥底では愛を求めているのです。
No No No No
全部 僕のせいだ
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
そしてすべての原因は自分にあると思いつめる主人公。
自分を受け入れてくれる存在を求めるこころの叫びに、胸が締め付けられます。
この世界に溢れる、主人公にとって納得のいかない出来事の数々。
そこにある悪意や悲しみに反抗しながらも、孤独に耐えきれないのでしょう。
自身の存在が周囲に受け入れられないことへの苦悩が感じられる表現です。
自分の信念を貫こうとしながらも、そうし続けることに疲れているのでしょう。
主人公の心が今にも折れてしまいそうであることが伝わってきます。
本当にいなくなれば良いのか?
二番のサビの歌詞は、一番とほぼ同じですが、ほんの少し違います。
それは最後のこの部分。
わかってるよ
La La La…
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
そして、メンバーが歌わない歌詞が登場し、曲はしばしの間無音状態になります。
この、メンバーが歌わない歌詞の部分は何を意味するのでしょうか。
この間に、主人公は一旦すべてを諦めかけるのです。
しかし……