神戸
歌のテーマとなっている街「神戸」。
関西の都市の一つで、おしゃれで華やかな街として知られています。
海岸に隣接し、文化的な雰囲気もある神戸。
街全体の雰囲気はおしゃれでクレバーな女性が良く似合います。
そんな街で、恋をし失恋した主人公はいったいどんな女性なのでしょうか。
明るく健康的な女性。
恋も仕事もがんばる女性。
若しくは、ネオンの街できらびやかに羽ばたく女性かもしれません。
どちらにしろ、表向きはきっと美しく凛と生きる人を連想します。
その一方で、一筋縄ではいかぬ恋に身を焦がしやがてはつらい結末を迎える。
都会の街には華やかでおしゃれな表通りと、影のある裏通りが隣りあうように。
一人の女性の中には、美しさと悲しみが混在しています。
神戸という街、都会の一都市は恋する女性の姿に似ているのかもしれません。
もう一度
神戸 呼んで帰る人か
傷ついた心が みにくくなるだけ
神戸 無理に足を運び
眼についた名もない 花を踏みにじる
出典: そして神戸/作詞:千家和也 作曲:浜圭介
彼と出会い、恋をし、そして恋を失くした街「神戸」。
街の名を叫びながら、主人公は帰らぬ人の影から逃れられずにいます。
あの人は
恋をしているとき、相手の良い面をできるだけ見ようとします。
通常であれば、「違うかな?」と思うことさえ彼の美点として受け入れてしまうもの。
主人公は知っています。彼が二度と振り返らぬ男であることを。
女性が泣こうとわめこうと、一度自分が決めたことを覆すような男ではないということを。
それは、恋愛の渦中には決断力があるとか、クールとかと捉えた部分であったりします。
しかし、心のベクトルの向きが変わってしまった今。
その特徴は彼女を切り落とすための刃物でしかありません。
彼がそんな男性であると知りながら、縋り付くのは滑稽なだけです。
この男性の場合は、そうされると余計に相手を嫌いになるタイプでしょうか。
わかっていながら、追いかけたい気持ちと主人公は闘っているようです。
私のような花
自分の気持ちのやり場に困った主人公。
重い体を引きずるように神戸の街をさまよい歩きます。
家に帰りたくない、彼との思い出のお店には行きたくない、という思いでしょうか。
ふとそこにあった小さな花に気持ちをぶつけ踏みつぶしたなら。
彼女はそこで気づくでしょう。
その小さな花はまるで自分のようだということに。
たまたまそこにあった一輪の花。
自分の調子が良い時は愛でてかわいがり、自分の尺度で楽しむ。
そして、心の向きが変わってしまえば意味もなく踏みつぶしてしまう。
不実な男の行為をそのまま花にぶつけながら、主人公は余計に暗い悲しみに胸をいためていくようです。
救い出してくれるなら
そして ひとつが終わり
そして ひとつが生まれ
誰かうまい 嘘のつける
相手 捜すのよ
誰かうまい 嘘のつける
相手 捜すのよ
出典: そして神戸/作詞:千家和也 作曲:浜圭介
泣こうとわめこうと、失った恋は帰ってきません。
主人公はどのように自分の心にけりをつけていくのでしょうか。
失った恋は
主人公の失った恋はどんなものだったのでしょうか。
主人公の女性は、大人の女性でしょう。
自分の足で自分の人生を生きながら、しっかりと生きている女性。
そして、心のうちは繊細で頼りになる男性を求めています。
将来性のある恋でなかったとしても、毎日に彩を与えてくれるような恋。
そんな恋を男性に求めたかもしれません。
離れていった男性は、主人公の思惑を知ってか知らずか上手に恋愛させてくれた人。
時に刺激的に、時に守るように、主人公の求める恋愛の幻をくれる器用な男性を連想します。
女性に夢を見させる恋愛ゲームに興じる男性と、甘美な恋に酔う女性。
二人の望みが重なっている間は良い関係も、やがて終焉を迎えゲームオーバーとなります。