ご当地ソングの決定版「中の島ブルース」
曲名「中の島ブルース」。
タイトルを見ただけでご当地ソングとわかります。
中の島という地名限定のご当地ソングの決定版。
70年代に青春を過ごした方々なら、タイトル見ただけでフレーズが浮かびますね。
前川清の独特のビブラートと、バックの「わわわわ―」というコーラスの掛け合い。
明るくも切ない雰囲気。
中の島とはどんな場所なのだろうか?
中の島ブルース1番
それでは早速1番から見てゆきましょう。
1番は北海道札幌市豊平区中の島がもとになっています。
1番Aメロ
赤いネオンに 身をまかせ
燃えて花咲く アカシアの
出典: 中の島ブルース/作詞:斎藤保 作曲:吉田佐
赤いネオンは繁華街の象徴です。
札幌で繁華街といえばススキノ。
この歌ができた70年代なかごろは、ビルの壁はネオンサインだらけでした。
ネオンガスを入れた細い管はなまめかしいくらいの赤色で輝きます。
このネオン管をくねらせて一筆書きで作られたものがネオンサインです。
ススキノは世界でも有数のネオンサインが多い街でした。
このネオンサインに身をまかせるとはどういう意味なのでしょうか?
中の島ブルースの歌詞は主人公が男性か女性かはっきりと書かれていません。
まかせるというイメージからすると、女っぽいイメージです。
しかし、ススキノの雰囲気に飲み込まれるという解釈からは、男性的です。
いったいどちらなのか?
まだ歌詞の序盤ですのであいまいさを残しておきましょう。
さあ、2行目でアカシアという木が出てきます。
この木はマメ科の樹木で、白い小さな花が枝いっぱいに咲き乱れます。
満開になると、遠くからでもわかるほど甘い香りが広がります。
季節は春!?
ではありません。
札幌は北国ですので花が満開になるのは6月中旬以降です。
つまり、季節は初夏です。
長い冬から解放され、人々の心が浮かれ始める季節です。
1番Bメロ
あまい香りに 誘われて
あなたと二人 散った街
出典: 中の島ブルース/作詞:斎藤保 作曲:吉田佐
アカシアの花が満開で甘い香りを放っているシーンです。
ススキノには並木はありません。
香りに誘われるとはススキノから別の場所へ移ったことを暗示しています。
さて、それはどこなのか?
ススキノを南に通り過ぎると中島公園があります。
さらに左側の豊平川沿いに進んで幌平橋を渡ります。
すると、アカシアの並木が見え始めます。
実はこのルートは、当時のカップルの定番デートコースでした。
続きは1番サビの解説で説明しましょう。
ちなみに“散る”という言葉は男性にはあてはまりづらいですね。
となると、歌詞の主人公は女性と解釈できます。
1番サビ
ああここは札幌 中の島ブルースよ
出典: 中の島ブルース/作詞:斎藤保 作曲:吉田佐
はい、到着しました。
橋を渡ると中央区から豊平区に変わります。
地下鉄の駅から先が中の島です。
駅名も中の島です。
何を隠そう、当時のこの辺りはラブホテル街なのです。
つまりデートコースの最終到達地点というわけですね。
まとめると、札幌の大人の恋の終着点が中の島ということになります。
中の島ブルース2番
2番は大阪が舞台です。
歌詞は中の島ですが、実際は中之島です。
そこは語呂合わせですから、細かい詮索はなしということでゆきましょう。