ここでは一途な恋愛の切ない面が垣間見れるシーンです。
自分も相手も傷つくから嫌なことは言わず、淋しい気持ちも押し隠す私。
内に秘めた願望や思いは相手にぶつけません。
よって、君のことを愛しているのですが、本当の思いは伝えなくていいと私は思っているのではないでしょうか。
これが愛
愛だと名付ければそれが愛だといえる
出典: 忘れ咲き/作詞:AZUKI七 作曲:中村由利
次も印象的な言葉。
この行為に「愛」という名前をつければ、それは愛になる。
そう自分に言い聞かせる私。
相手と結ばれなくても、想っているだけでも、自分が愛と思えばそれは愛なんだよ。
そんな慰め・決意がこのフレーズから連想されます。
強い無償の愛と、時に淋しくなる夜
形あるものはいらない
何かを求めるとか形あるものじゃなく
ただ好きでいるそんな風にいれたらいいなって思う
出典: 忘れ咲き/作詞:AZUKI七 作曲:中村由利
2番目サビ部分。
変化する激しい恋愛はいらない。
1番ではそういう思いを歌っていました。
2番目では、「求める」「形ある」という言葉から、君への欲望は持たないという意味が浮かび上がってきます。
形というのは、物(プレゼント)や、付き合うこと、結婚などの約束や契約といえるでしょう。
人々はこうしたことを幸せの形として表現し、喜びや幸せを感じ、世間に公表することが一般的。
そんな概念を冷静に客観視し、ただ想っていれたらいいと言い切る意志の強さ。
それだけ私が静かに、そして強く君を愛していることがわかります。
夜は弱さをさらけ出す「忘れ咲き」
孤独や弱気だとか押しよせる夜忘れ咲き
人恋しさぬぐえるような強さなど持てるでしょうか…
出典: 忘れ咲き/作詞:AZUKI七 作曲:中村由利
ここで私のうちに秘めた本当の弱さが明かされます。
ただ想っていても、もう君には会えない日々。
夜にはそんな寂しさがつのります。
強くなんかなれない。
そんなありのままの弱音をはいてしまう時間が夜なんですね。
そして、そんな孤独な夜に咲くのが忘れ咲き。
咲いた花の正体、本当の気持ち
愛だとか恋だなんて変わりゆくものじゃなく
ただ好きでいるそんな風にずっとね思っていれたら…
孤独や躊躇い弱気が押しよせる夜に忘れ咲いた
出典: 忘れ咲き/作詞:AZUKI七 作曲:中村由利
最後のサビの繰り返し。
冒頭は1番と同様で、変化せずに思い続ける恋愛を表現しています。
最後の言葉では、今まで度々登場した忘れ咲きが花開きます。
忘れ咲きとは一体何なのでしょうか。
1番では、夢の続きを期待し、過去を振り返るときに登場。
2番目の忘れ咲き、そして満開になったときは、いずれも孤独を感じた夜。
このときも、まさに人は過去を振り返るという歌詞のとおり、私は過去を思い出していたのではないでしょうか。
そして、夜のためにさらに寂しさはつのり、満開になります。
よって、忘れ咲きは過去を振り返り、立ち止まって思いを馳せるときに咲く花といえます。
また、辞書には掲載されていませんが、忘れる、花という言葉から、忘れた頃に咲く花と認識することができます。
普段過ごしている日常では咲きませんが、ふとしたときに忘れていた過去を思い出すと、そっと心に咲く花。
災いの花ではなく、後悔も辛さも幸せも混じった過去を思い出として忘れないよう、開かせてくれる優しい花。
そんなイメージが忘れ咲きの描写から感じられます。
似た意味の実在する花としてはワスレナグサ(勿忘草)が挙げられます。
花言葉の「真実の愛」「私を忘れないで下さい」も、この伝説に由来する。
出典: http://ja.wikipedia.org/wiki/ワスレナグサ
勿忘草の花言葉からも、忘れ咲きと重なる点がありますね。
ただ想い続ける、決して忘れない。
そんな愛が詰まった切ない花といえます。