「月に負け犬」はどんな曲?
「月に負け犬」は、椎名林檎の2作目のスタジオ・アルバム「勝訴ストリップ(しょうそストリップ)」の9曲目に収録されている曲です。
この曲は、椎名林檎が18歳の頃に制作された楽曲だそうですが、今回の10曲の中で唯一東京事変以後の曲になっています。
この曲の歌詞は、彼女自身でも言い切れない内容を詞にしており、他人事のように描写するために、彼女の楽曲では珍しく一人称が「僕」になっています。
この曲の契約交渉の時に、レコード会社の担当者に「結局、虚勢を張ってんだか張ってねえんだかわかんねえんだよ!」とこっぴどく怒鳴られたという曲だそうです。
その時、椎名林檎は担当者に何も言い返せなかったために、曲のタイトルが「負け犬」になってしまったそうです。
2000年4月3日付のオリコン週間アルバムチャートでは、このアルバムが初の首位を獲得しています。
最終的には累計売上230万枚以上をセールスし、自身最大売上記録の作品となっています。
また、このアルバムで椎名林檎は、第42回日本レコード大賞ベストアルバム賞、および日本ゴールドディスク大賞ロック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
椎名林檎と東京事変
東京事変は、2003年に結成し2012年に解散したバンドで、所属レコード会社はEMIミュージック・ジャパン/Virgin Musicでした。
2003年当時、「メンバーたちのために書き下ろすつもりで曲を書けば、意欲が湧くのではないか」と考えて、引退を考えるほど音楽活動の継続にモチベーションを見出せなかった椎名林檎が結成したそうです。
東京事変は、もともとは彼女のバックバンドだったのですが、本人がヴォーカルとして参加することにより正式にバンドとしての活動を始めました。
最終メンバーは、ボーカル・ボーカル、ギター、ピアノ = 椎名林檎、ドラムス = 刄田綴色(はた としき)、ベース = 亀田誠治(かめだ せいじ)、ギター、マンドリン、ボーカル、コーラス、ラップ = 浮雲(うきぐも)、鍵盤楽器(キーボード・ピアノ)、ギター、ボーカル、コーラス = 伊澤一葉(いざわ いちよう)の五人となっています。
「月に負け犬」の歌詞の意味
それでは、この「月に負け犬」の歌詞の意味を、詳しく見ていくことにしましょう。
椎名林檎のイメージは、初めに見たファーストインプレッションでは、変わった女の子という感じを受ける人は多いのではないでしょうか。
おそらく、彼女が書く歌詞も、少し変わったところがあるようです。
怖いもの知らず
これは、椎名林檎の内側を反映させている詞なのだろうと思います。
いろいろなものや、いろいろなことに興味がある女の子。
でも、周りからは、ちょっと浮いてしまう。
怖いもの知らずで、好奇心旺盛で、興味があることなら、なんでも鼻を突っ込んでしまう、そういう女の子のイメージがしてきますね。
浮かべてはならない花
自分のことを「僕」と言っています。
この部分の感性も、独特の雰囲気がありますね。
川の流れを、人生に喩(たと)えているのでしょうか。
「浮かべてはならない花」とは、自分の生き方、人生を言っているのかもしれません。
そして、自分を認めてということは、現在は、相手に自分の存在を認めてもらっていないということなのでしょうか。
明日死ぬかもしれない
何かが、ただ伝われば、後悔はないし、明日死ぬかもしれないからと歌っています。
何が伝われば、後悔がないのでしょう。
自分の思い、自分の生き方、自分の感情、自分の愛、自分の何が伝われば、そんな気持ちになれるのでしょう。
振り絞るのは、おそらく自分の全てではないでしょうか。