カネコアヤノ「さよーならあなた」
1st EP『さよーならあなた』表題曲
シンガーソングライターとして活躍するカネコアヤノ。
彼女の大きな魅力はその類い希な歌声と、唯一無二の歌詞の世界観です。
今回ご紹介する楽曲は、彼女の1st EPに収録された楽曲「さよーならあなた」。
上記の楽曲と同名のタイトルであるこのEPは元々、ライブ会場やオフィシャル通販でのみ販売していたものです。
しかしすぐに完売してしまい、その後に全国流通盤という形で再発されました。
このエピソードから分かるのは、このEPはとても多くの人を虜にしたということです。
今回はそのEPの表題曲である「さよーならあなた」の歌詞について解釈していきます。
「さよーならあなた」のMVはYouTubeで公開中
YouTube上では「さよーならあなた」のMVが公開中です。
このMVでは、カネコアヤノ本人が喫茶店の店員役として出演。
その喫茶店を舞台にして、カネコアヤノと喫茶店を訪れた客たちとの人間関係が描かれています。
どこか小悪魔的な魅力で、男性客を魅了するカネコアヤノ。
このMVの物語が行き着くのはどのような結末なのでしょうか。
まだご覧になっていない方は是非最後までご覧になってみてください。
夏の出来事
自分と他人
すれ違う人
白線の上を丁寧に歩く
野良猫みたいに
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
まず冒頭で言及されるのは、街を歩く人の姿です。
2、3行目の歌詞によって、一歩一歩踏み締めるように歩く人の姿が目に浮かびます。
主人公はその人とすれ違いながら、どこかそのよそよそしくも見える姿を横目で追っているのでしょう。
動作が丁寧であるということから、私たちは自然と注意深さを感じ取ることがあります。
主人公はその人の姿に対して、自分には無いものを感じているのではないでしょうか。
人というのはあまりにも自分と似通った人でない限り、自分と似た人よりも全く異なる人の方が目に付きやすいでしょう。
自分という存在と他人を比較して、主人公は何らかの感情を抱いていると考えられます。
行き場のない気持ち
うつむきがちな夏の朝には
誰かに迷惑かけたくてしかたない
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
このパートから分かるのは、主人公が恐らくその人とは違って、暗い気持ちを抱えているということです。
暑い朝には似合わない曇った気持ちを抱えて、外を歩いているのでしょう。
2行目にはその行き場のない気持ちを誰かと共有したいという心情が表されていると考えられます。
「迷惑」というのは、人を不快にしてしまうような出来事を指しているのでしょう。
主人公はこの負の感情を他者に伝えることが「迷惑」だと考えているのかもしれません。
それでももやもやとしたこの心情を誰かに聞いて欲しくてたまらない。
そんな状態がこのパートでは表されていると考えられるのではないでしょうか。
今、恋をしている
恋する毎日
いろんな気持ちが毎日
うまれて キスして
ふざけた言葉がだいすき
ヘイ ベイべ たまにはいいでしょう
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
ここでも自身の心情について言及されています。
1行目の「気持ち」というのは、前述のパートにおける感情も含有されていると考えて良いでしょう。
毎日自身の気持ちが振り回されているのは、恐らく主人公が恋をしていることが原因なのではないでしょうか。
そのことがこの歌詞パートの2〜4行目を読むことによって分かります。
恋をすれば、暗い気持ちになることも明るい気持ちになることもある。
その両方の間で揺れ動きながら、様々な感情が生まれることを楽しんでいるような印象を受ける歌詞パートです。
主人公の恋によって浮き足立っている様子が分かります。