今の自分たちが持つモノだけで勝負をかける覚悟
この歌詞のなかで語り手は「そんなこと簡単。でも時間の無駄」と中指を立てることをやめます。
そして代わりに何をしたか。
自分の部屋を掃除して、これまで手にしたモノを見つめ直したのです。
部屋は精神、ノウハウ、技術と置き換えてもいいかもしれません。
そこにある「これまで自分が築き上げてきたもの」に目を向ける。
つまり自分の怒りや悲しみに任せて吠えることをやめたのですね。
そして自分ができることをあらためて考え直した。
これは牙を失ったわけではありません。
むしろその逆。牙を研ぎ済ますことにしたのですね。
ある種、中指を立てることの何倍も恐ろしく、何倍もパンキッシュだといえます。
SHANKのかっこよさが存分に出ている世界観でしょう。
「でかい音を鳴らして楽しむ」という理想のバンド像
SHANKのスタンスこそが理想のメロコアバンドなのではないか
このように改めて歌詞を並べてみると、かなり比喩的な表現が多いのが特徴ですね。
具体的な言葉は一切出てこず、なんらか分かりやすい事件があるわけでもなく、とても曖昧模糊な言葉の連続。
「考えさせる歌詞を狙って書いているのかな」と思ったのですが、どうやらそうでもないようです。
作詞を担当しているベースの庵原将平は「SHANKの音楽にメッセージ性などない」と明言しています。
「とにかくでかい音で遊びたいだけ。今も昔も自分たちが楽しいと思えることを全力でやっている」。
このことを知ったとき「なんて自分勝手なバンドなんだ」と感じました。
一瞬、とがめる気持ちにもなりましたが、よくよく考えてみればそりゃそうなのです。
だって彼らはロックバンドなのですから。
とくにパンクと関係が深いメロコアバンドなのです。
客に媚びを売って、好かれるような歌詞や曲を書いて認知されるようなバンドはロックバンドとは呼びません。
自分たちがやりたいことをして、その音楽性や生き様に共感するファンと一緒にライブハウスで目一杯楽しむ。
このスタンスこそがメロコアバンドの鏡でしょう。
SHANKというバンドは、歌詞にそこまで重要なメッセージ性を込めているわけではないようです。
「Cigar Store」のコード進行をご紹介
シンプルだから人を惹き付ける
次に「Cigar Store」のコード進行をご紹介しましょう。
爆発的なイントロからサビ~Aメロ~Bメロ~サビと高速2ビートに乗せて疾走していくこの曲。
ギターのフレーズはかなりシンプルなのでコピーしやすいのではないでしょうか。
[intro×4]
|A|B|C♯m|C♯m|
[hook]
|A|B|G♯m|C♯m|
|A|B|C♯m|C♯m|
|A|B|G♯m|C♯m|
|A|B|C♯m|C♯m|
[a-melo]
|A|A|B|B|
|G♯m |G♯|C♯m|C♯m|
|A|A|B|B|
|G♯m |G♯|C♯m|C♯m|
[b-melo]
|A|A|B|B|
|G♯m |G♯|C♯m|C♯m|
|A|B|G♯m |C♯m|
|A|A|B|G♯B|
出典: Cigar Store/作詞:庵原将平 作曲:SHANK
[bridge]
|A|B|C♯m7|C♯m7|
|A|B|C♯m7|C♯m7|
|A|B|C♯m|C♯m|
|A|B|
[b-melo] refrain (*G♯→G♯m)
|A|B|G♯m|C♯m|
|A|B|C♯m|C♯m|
|A|B|G♯m|C♯m|
|A|B|C♯m|B|
|A|B|
|A|B|C♯m|C♯m|
|A|B|C♯m|
出典: Cigar Store/作詞:庵原将平 作曲:SHANK
いかがでしょうか。
実際に惹いてみると分かると思いますが、かなりシンプルな進行ですよね。
シンプルだからメロディが引き立つ。
シンプルだから疾走感が生まれる。
シンプルだからメッセージが伝わる。
メロコアバンドにとって、オケのシンプルさは武器になります。
この曲はまさにメロコアらしさあふれる一曲として、今後もメロコア界に名を残すような曲になるでしょう。
「Cigar Store」はこれからもSHANKを支え続ける
卓越したメロディセンスは生き続ける
彼らがまだ若いときにできあがった名曲「Cigar Store」。
リリースされてから8年。いまだに数多くのライブキッズたちから愛され続けています。
ライブでも、やはりこの曲がかかるとひときわ大きな歓声が聞こえます。
SHANKというバンドが愛され続ける要因の1つであることは間違いありません。
まだ売れる前のSHANKが世間に認められるきっかけになった曲でしょう。
SHANKもいつの間にやら結成14年目に突入しました。
メロコア界のなかでも中堅的な立ち位置になっています。
しかし既にシーンにもたらした功績は大きいでしょう。
自身の主催イベントである「BLAZE UP NAGASAKI」も、ビッグネームが名を連ねるようになりました。
個人的にはいずれ「AIR JAM」や「京都大作戦」のような、バンドが主催する巨大フェスに成長すると思っています。
彼らがHi-STANDARDや10ーFEETのような、メロディックハードコア界の巨人になる可能性があるということ。
そんななかで「Cigar Store」はもっともっと多くの人から愛される曲として育っていくのでしょう。
メロコアバンドに興味を持った方はぜひ……!
日本のメロコアシーンをけん引するバンドをご紹介
普段、メロコアバンドを聴かない方にとって、こうしたジャンルって刺激的ですよね。
そこで日本を代表するメロコアバンドの記事をご紹介。
今、野外フェスの増加に伴って再燃しているシーンなので、ぜひ一度聞いてみてください。