楽曲について
Vaundyの楽曲『怪獣の花唄』。
2020年7月3日にYouTubeで公開され、公開3週間ほどで再生回数は50万回を突破しています。
アルバム「strobo」には1人のアーティストから制作されたとは思えないほどの幅広い楽曲が収録。
そしてこの楽曲も、お洒落で落ち着きのあるVaundyとはまた違った1面を持っています。
過去には戻れない哀愁と、どこかノスタルジックな気分にさせられる歌詞。
まるでTVCMに使用されているかのような、爽やかで奥行きのあるメロディーにも注目です。
早速、歌詞に込められた想いを1つ1つ解釈していきます!
奪われてしまったもの
過去の自分
思い出すのは君の歌
会話よりも鮮明だ
どこに行ってしまったの
いつも探すんだよ
出典: 怪獣の花唄/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
楽曲中に何度も登場する「君」というキーワードに注目です。
歌詞の冒頭から想起してしまうほどに大きな存在であることが読み取れます。
頭の中が埋め尽くされてしまう「君」とは、過去の自分のことではないでしょうか。
歌詞2行目で謳われていることについても深く見ていきます。
自分の想いや考えは、1番自分が敏感に感じ取ることができるという意味合いが込められているのでしょう。
そんな自分にとって重要な存在であった「歌」の姿は今はどこにもないといっています。
そこには心にぽっかり穴が開いたような虚無感が広がっています。
開始冒頭から、何かを必死に追い求めている主人公の姿。
MVで、自転車を立って漕いでいる描写も、また1段と焦燥感と哀愁を感じさせます。
変わってしまった自分
思い出すのは
君の歌
歌い笑う顔が鮮明だ
君に似合うんだよ
ずっと見ていたいよ
出典: 怪獣の花唄/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
頭をよぎるのは、あの頃の歌だけでなく、その歌を奏でる自分の笑顔。
無邪気で、真っ直ぐに思いのままを表現していたことが読み取れます。
ここから感じ取れるのは、昔のような自分に戻りたいという回顧する想いです。
まるで、親が子を見つめるような温かさすら感じられるフレーズ。
「あの時は…」という想いの深層心理には、今の状況が良好ではないことも考えられます。
何かに迫られて、日々を切り捨てるようにして生きていく毎日。
過去に歌を歌っていた幼少期の自分からは考えられないのだといっています。
それが羨ましくもあり、変わってしまった自分に悔しさすら抱いているのではないでしょうか。
大人になることで過去の自分から変化するものは数知れません。
その中で、奪われてしまいたくなかったものまで、気づいた時には無くなっているのでしょう。
あの頃は気づけなかったもの
幼さを求めて
でも最後に見たいのは
きっともう君の夢の中
もう一度
また聞かせてくれよ
聞きたいんだ
出典: 怪獣の花唄/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
少なからず、青二才的な部分もあった当時の過去。
しかしながら、主人公は何度だってそんな自分に戻りたいのだといっています。
眩しいほどの光彩を放ち、何者にだってなれると根拠のない自信に満ち溢れていた日々。
大人になった今、発言すれば周りが眉をひそめるほどの幼さを求めているのだと解釈出来ます。
そして「歌」といっても、歌詞とメロディーが乗ったものだとは断定できません。
仲間とのたわいもない会話、目的もなく歩いた海岸線、壊れるほどに使い古した自転車。
あの頃の過去を想起させる思い出の全てこそが「歌」という言葉に形容されているのでしょう。
戻ることは出来ないと分かっていても、振り返ってしまうのです。
小さく偉大な怪獣
もっと
騒げ怪獣の歌
まだ消えない
夢の歌唱えて
君がいつも
歌う怪獣の歌
まだ消えない
口ずさんでしまうよ
出典: 怪獣の花唄/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy