全国大会もリーグ戦も、勝利を目指すために費やす時間は簡単に表せない長さです。頂点に立つために、頑張りよりも、我慢を優先することを思い知らされたかもしれません。
でも、最後の最後で、手に入るはずの栄光と歓喜を逃しました。自分のミスキックがすべてを終わりにしました。仕切り直しもやり直しも効かないミスで、自分以外の仲間たちの時計も止まりました。
ミスをしたアスリートに今ここで掛ける言葉は見つかりません。でもここまで積み上げた長い時間は決して無駄な時間にならないことだけは伝えたいと思います。
「ノーサイド」のコード譜にトライ!!
Dm G7 Am D Gsus4 G7 C Dm C
彼は目 を閉じて 枯れた芝 生の匂 い 深く吸っ た
Bm7-5 E Am7 D Gsus4 G C F C
長いリ ーグ戦 しめくく るキック は ゴールをそれ た
Em7 Am7 Em7 Am7
肩 を落と して土 をはら った
Am E Am7 D Dm
ゆる やかな 冬の日の 黄昏 に
F/G Am D Gsus4 G7 C F C F6
彼はも う二度と かぐこと のない 風 深く吸っ た
出典: ノーサイド/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
始まりはDm→G7→Am→Dと分かりやすくコードは進行しています。難解なのは譜割ですね。あわてず歌いましょう。
Bm7-5は『ビーマイナーフラットセブン』と読みます。Bm7の半音上がるファを半音下げるので、フラットのファを弾きます。
シ・レ・ファ・ラの組み合わせですが、私は好きな音です。ピアノ向きのコードかもしれません。
“深く吸った”と“ゴールをそれた”のあとは余韻を残すことを意識しましょう。
国立競技場で最後の早明戦♪
あなたを見つめる人がいる♪
何をゴールに決めて
何を犠牲にしたの 誰も知らず
歓声よりも長く
興奮よりも速く 走ろうとしていた あなたを
少しでもわかりたいから
人々がみんな立ち去っても私 ここにいるわ
出典: ノーサイド/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
走る姿は永遠に!もう少しここにいます♪
ラグビーのゴールの幅は5.6mです。フィールドの広さはだいたい100m×70mなので、ゴールポストはかなり小さく見えます。クロスバーの高さは3mのところについています。
参考までにサッカーの場合はフィールドの広さはほぼ同じで、ゴールの幅は7.32m高さは2.44m。ラグビーの方が約1.7m狭くなっています。
正確なキックを決めるためには、メンタルも強くないとダメですよね。
スクラムを組んでボールを奪い合い、反則をしない様にパスをつなぎ、トライが出来れば点が入ります。長く・速くという意識をしなくても、楕円型ボールのために自然に身体は動いています。
観客席から見守ることを続けてきたけれど、今日で終わることが決まりました。でも、もう少しここに居させてください。あなたの心はまだフィールドに居ると信じているから。
同じゼッケン 誰かがつけて
また次のシーズンを かけてゆく
人々がみんなあなたを忘れても ここにいるわ
出典: ノーサイド/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
作詞家ユーミンの気持ちがMAXになった3行です。ユニフォームを着てプレイに集中することは、自分のプライドだったはず。与えられたゼッケンは自分の代名詞にもなっていました。
自分が愛したゼッケンが付いたユニフォームをこの後着ることはありません。つぎのシーズンの勝利に向けて、自分以外の選手が番号を引き継ぎます。
ゼッケンを背負ったあなたの背中を、私しか覚えていなくてもあなたのプライドは消えません。私の心がその姿を永遠に覚えているために、もう少し座り続けることを許してください。
コード譜に再トライ!!
C Dm A7
歓声よりも長く 興奮よりも 速く
Dm C♯aug Dm/C Aaug Dm7
走ろ うとし ていたあ なたを 少しで も
G7 Csus4 C Dm A Dm
わか りたいか ら
F/G Am D C G9 Dm7 G7
人々 がみん な立ち去っ ても 私 ここにいる わ
出典: ノーサイド/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実
C♯augは『シー・シャープ・オーギュメント』。元のCはド・シャープ。フラットのファ(長3度)とラ(♯5)の和音です。見た目ほど難しい組み合わせではないのですが、ド♯は和音を深いモノにします。
歌詞の心情にあったコード進行です。「C→Dm→A→Dm」の部分は1コードずつ丁寧に弾きたいですね。やっぱりピアノの弾き語りがベターかな。
いつまでも信じている、あなたを♪
試合をすれば必ず勝者と敗者が生まれます。「ノーサイド」のモデルになった全国大会の決勝は負けてしまえばそこで終わり。
目の前の敗者に、次には勝てるから頑張れの言葉は、有効ではありません。
観客が居なくなっても、まだ私は立ち上がれません。私だけしか見ていないフィールドを、あなたは走り続けています。
立ち上がってどうするか、明日は何をするか、未来はどうすればいいのか、何も考えたくありません。
今日ですべてが終わった現実。それを受け入れることが可能になるまでには、もう少し時間が掛かりそうです。