椎名林檎「流行」
椎名林檎色の強い4枚目のアルバム「三文ゴシップ」に収録
椎名林檎「流行」は2009年発売の4枚目のアルバム「三文ゴシップ」に収録された楽曲です。
「三文ゴシップ」は「加爾基 精液 栗ノ花」から約6年4ヶ月ぶりのリリースとなる椎名林檎個人名義のアルバムでした。
バンドのヴォーカルとして椎名林檎が活躍した「東京事変」の活動を合間に挟んだこともあり、より椎名林檎個人名義でのサウンドについて徹底して作られた印象の強いアルバムです。
アルバム1曲目を飾る楽曲
「流行」は「三文ゴシップ」の1曲目に収録されています。華やかでお洒落なテイストのイントロが魅力的で、「真夜中は純潔」などで垣間見える小悪魔的な女性像が思い浮かぶ楽曲です。
「三文ゴシップ」は東京事変との差別化を意識されたためか、バンドサウンドは極力控えられています。
「流行」もPE'Zのヒイズミマサユ機(東京事変キーボード担当)やMummy-Dを加えて製作された曲で、ジャズテイストの音楽に仕上がりました。
「流行」の動画をチェック
「流行」はアルバム収録曲ですが、フルバージョンのPVが製作され公開されています。
黒いドレスをまとって歌う椎名林檎が美しく、大人っぽい女性の魅力を爆発させていますね。
「流行」でラップを担当しているのはMummy-D。
椎名林檎とMummy-Dは、お互いの魅力を活かしたコラボ楽曲を、この他のお互いのアルバム等でも発表しています。
「流行」PVではラップをするMummy-Dも楽しめます。
クールなPVほど高画質で楽しみたくなりますね。「流行」は椎名林檎4枚目となるPV集「性的ヒーリング~其の四~」に収録されています。
椎名林檎のPVは楽曲のイメージを熟考した上で映像化するため、他の曲のPVも映像作品として楽しめるものばかりです。
「流行」の歌詞を考察
現代社会の「女」を描く歌詞
きっと憶えらんないでしょ
特徴なんて これっぽっちも無い
私の名ならば女
それ以上でも以下でもない
出典: 流行/作詞:椎名林檎,坂間大介 作曲:椎名林檎
「流行」は、流行に乗り次々とメイクや服装を変えていく女性像を描いた楽曲です。
「女」という名前以外は何もいらない、特徴なんてこれっぽっちもないと言い切る潔さは、どこか悲しくもありますが現代社会の女性を如実に描いていると思います。
個性を欲しがっているようで周りに同調する。この矛盾は女性の誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。
雑誌やテレビで報道される「流行」という現象自体が女の性を表しているということを、「流行」の歌詞は気付かせてくれます。
主導権は私にある「女」
太陽が移ろうより
早い君の調子(コンディション)を喰らい
変貌を遂げてあげる
ハヤっている季節限定
出典: 流行/作詞:椎名林檎,坂間大介 作曲:椎名林檎
「女」は「男」がいるから成り立ちます。「流行」に描かれる女性にも、「きみ」という存在がいます。
きみは調子(コンディション)が目まぐるしく変わるようで、心変わりの多い優柔不断な男性像が思い浮かびます。
そんな男性に振り回されるのではなく、その調子さえ喰らい、「変貌を遂げてあげる」という女王様のような反応。それでも「きみ」には逆らわない。
そんな絶妙な大人の女性のさい配を感じさせる歌詞に、ファンからは絶大な評価が集まっています。