平井堅「君の好きなとこ」
2007年発売のシングル
「君のすきなとこ」は、2007年2月に発売された平井堅の26枚目のシングルとその表題曲です。
ダークで大人っぽい一面を見せた前作「哀歌(エレジー)」から打って変わって、この「君の好きなとこ」では明るく温かい作風が意識されました。
その狙い通り、ひたすらに純粋な思いを伝える歌詞が綴られた本作は、ストレートなラブソングに仕上がっています。
オリコン週間チャートでは5位を記録しました。
ドラマ「演歌の女王」主題歌
「君の好きなとこ」は、ドラマ「演歌の女王」の主題歌になりました。
天海裕希さん主演で不幸続きの売れない演歌歌手を描いたこのドラマは、コメディタッチで描かれるコミカルな物語になっています。
元々完成していた「君の好きなとこ」は、ドラマに合わせて手直しが加えられて使用されました。
実はドラマのエンドロールに平井堅本人も少し登場しているそうですよ。
また、シングルのカップリングとして収録された「美しい人」も資生堂「ELIXIR SUPERIEUR」のCMソングとしてタイアップを獲得しました。
収録アルバム「FAKIN' POP」
「君の好きなとこ」は平井堅の7枚目のアルバム「FAKIN' POP」にも収録されています。
この作品は、彼の代表曲のひとつとして有名な「POP STAR」が収録されているアルバムでもあります。
他にも「キャンバス/君はス・テ・キ」「バイマイメロディー」「fake star」など多数のシングルが収録されたこのアルバムは、オリコン週間チャートで2位を記録しました。
歌詞で描かれる物語を読み解く
好きになるほど言えない思い
思いが募るほどに 直接顔見ては言えない
君の好きなところなんて 数えきれないほどあるのに
いざ目の前にすると 何も言えなくなってしまう
会えない日に積み重ねた 願いも 迷いも ため息も
出典: 君の好きなとこ/作詞:平井堅 作曲:平井堅
「君の好きなとこ」の歌詞では、ひたすらに「君」のことが好きな「僕」を主人公に恋心が綴られます。
そんな主人公ですが、歌い出しからその思いを直接伝えられないことに悩んでいます。
相手のことを好き過ぎる、相手と親し過ぎると、かえって気持ちを言葉では伝えづらくなりますよね。
そこには照れや気まずさが含まれて、面と向かってはっきり気持ちを伝えるのはなんだかためらわれるものです。
好きなところを伝えようとするほど言葉につまる、そんなじれったさが歌われています。
ほら 今 この気持ち 君に言ってみたら
困った顔するかな? その逆ならいいな
出典: 君の好きなとこ/作詞:平井堅 作曲:平井堅
「もし言葉にしてはっきり伝えたら…」そんな空想を浮かべて楽しむ主人公。
君の反応をあれこれ想像してみます。
それでも直接言うことは叶わず、ただ頭の中に「君」の表情を描くだけです。
いくらでも思い浮かぶ「君」の姿
照れた笑顔 すねた横顔 ぐしゃぐしゃ泣き顔
長いまつげ 耳のかたち 切りすぎた前髪
君の好きなとこなら 星の数ほどあるのに
一つも言葉に出来なくて
出典: 君の好きなとこ/作詞:平井堅 作曲:平井堅
「君」の表情はいくらでも思い出せるし、顔の細かいところまでしっかりと覚えています。
それほど「僕」は「君」と長く一緒にいて、親しい関係なのでしょう。
「星の数ほど」あるという「君の好きなとこ」。きっと主人公は「君」の全てに惚れこんでしまっています。
それなのに思いを言えない現状には、もどかしさだけでなく、どこかあきらめるような気持ちも感じられます。