死んだら自分はどうなるの?
死んだ後の世界ってのを僕は本当に信じたいよ
だって今日まで 幸せを知ることなく死んだあの人
いつかどこかで会えるの? 天国で報われるの?
僕らはどこにいくの?どこにいけばいいの?
出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
ここでは豊かな国の人々から離れ、貧しい国で苦しんでいる人たちに想いを馳せています。
人は死んだあと、一般的には天国か地獄へ行くのだと考えられています。
1行目にある通り主人公の僕は、死後の世界である天国の存在を信じようとしています。
なぜそこまでするのか。これは自分が死んだあと、天国へ行きたいからではありません。
貧しい国に生まれ、当たり前のように生きられなかった5000人の人たちのことを想っているからです。
生きている時はとにかく苦しく、報われることのなかった人たち。
その人たちが、死んだ後には美しく素晴らしい世界へ行けますように…。
純粋な心で、死後の世界のことを考えているのです。
自分の死について考える主人公
いつか人生を全うしたら…
笑うことなく、喜び合うことなく消えた同士(とも)と再び出会う
天国ってとこで巡り合う その時胸張ってこう話す
「嬉しかった 美しかった 「幸せ」ってやつが溢れていた
いつかまた行ってみよう 「愛」ってやつを教えよう」
出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
ここでは自分より先に人生を終え、死んでいった人たちのことを考えています。
その人たちに会えるのは、将来自分が死んで天国へ行ったとき。
想像に過ぎませんが、きっと天国は素晴らしい世界です。でも主人公は、こう言いたいのです。
自分が生きてきた世界も、素晴らしいところだった、と。
そのために主人公は、自分の人生を全うしようと日々奮闘しているのです。
死ぬまで忘れたくないもの
笑って 抱き合ってる 君と僕とで
いつか必ず来る そんな時を待ちながら生きていこう
溢れ出さぬよう 忘れ去らぬよう
僕が消えて無くなる日が来るまで
ずっと ずっと ずっと
出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
2行目にある「そんな時」とは、自分が自分の人生を終えるその瞬間を指しています。
死は誰も免れることなどできません。命を授かったその時から、着実に死へと向かっているのです。
また、死は1度しか経験できません。そのため、誰かの経験談を聞いて心構えすることもできないのです。
そのためマイナスイメージがつきまといますし、恐怖心を抱く人も多いのでしょう。
それでも主人公が笑顔で過ごせているのは、死ぬことよりも真剣に考えていることがあるから。
それが、ここまでの歌詞でも触れられていた「生きること」です。
いつか死ぬとしても、いえ、いつか死ぬのなら尚更、いまある命を大切にしたい。そう考えているのです。
だからこそ、誰もが同じように命を全うできるよう、貧しい国に生きる人の命にまで想いを馳せていたといえます。
こう考えている主人公は毎日、生きることに必死です。死に恐怖を感じている暇などありません。
このように主人公は生に価値を見出しているからこそ、ずっと笑顔なのです。
改めて…
さあ、あなたはこの現状に一体何を思う?
Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying
出典: 祈跡-in album version-/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
冒頭の歌詞が再度登場しています。
あえて同じ歌詞を繰り返すことで、このナンバーを聴いている人たちに改めて理解させようとしているのでしょう。
いまの世界はこんな状況だ。これに対して君はどう考えるだろう?
ここまで世界の格差や報われない命に想いを馳せてきたからこそ、自分以外の人たちにもきちんと考えてほしい。
そんな気持ちが溢れているように感じられますね。
人の生死
生きること、そして死ぬことは、主人公にとってもわたしたちにとっても理解が難しいテーマです。
日常的に考えるには重すぎますから、あまり考えずに生きている人も多いでしょう。
しかし誰もが避けては通れない、非常に重要なテーマであることは皆わかっています。
この楽曲の主人公のように人の生死について深く考え、必死に生きること。
当たり前すぎて忘れがちですが、この大切なことを再認識するキッカケになっていたら幸いです。