背中を押してくれる歌

「夢は叶う」。

その言葉を素直に受け止められなくなってしまったのはいつからでしょうか。

自分よりも才能に溢れた人の存在に気づいてしまったあの時。

時とともに周囲の目や環境も変わっていったあの悔しさ。

自らに限界を定め、諦めてしまったあの日。

描いていた未来とは程遠い場所にいることに、不甲斐なさを感じる瞬間もあります。

ガムシャラに夢を追いかけていた頃の自分に怒られそうになりながら、今を生きている人も多いことでしょう。

今回解説していくのは、いきものがかりの「タユムコトナキナガレノナカデ」。

挫折を味わい、将来を憂いながらも、自分を信じて歩んでいこうとする姿を描いたバラードナンバーです。

過ぎ去っていく日々を、どう生きていくのか。

この曲の主人公は何もできずに足踏みをするのではなく、何ができるのかを考え、前を見据えるようになりました。

その生き方が、夢に悩む人たちの背中を押してくれることを願っています。

デビュー当時の覚悟が詰まった歌詞

いきものがかり【タユムコトナキナガレノナカデ】歌詞の意味を解釈!確かなものとは?弱さを乗り越えて…の画像

「タユムコトナキナガレノナカデ」は、いきものがかりアルバム『桜咲く街物語』に収録されています。

『桜咲く街物語』(さくらさくまちものがたり)は、いきものがかりのメジャー1作目のオリジナルアルバム。デビュー1周年直前の2007年3月7日にエピックレコードジャパンから発売された。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/桜咲く街物語

今や国民的アーティストともいえる座を築いた彼女たち。

この曲にはインディーズ時代からデビュー初期にかけての不安や覚悟が詰まっているように思えます。

山下穂尊(Gt)が作詞・作曲を担当。

吉岡聖恵(Vo)の初々しくも豊潤なヴォーカルが、楽曲の世界観を存分に引き出しています。

空にぶつける想い

あたしの想いよ風に乗れ 今すぐに知らぬうちに 行け
届いた雲の中の言葉 うっすらと 解りかけた 自分

出典: タユムコトナキナガレノナカデ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊

風景を表現した言葉が並ぶ歌詞

遠い空に向けて、ありったけの感情をぶつける主人公の姿が浮かんできます。

この歌詞二つの解釈ができるのではないでしょうか。

まず一つ目は、主人公は自分の感情を誰にも気づかれたくないと考えているという解釈。

何かしらの不安や不満が、胸に募っていたのでしょう。

一人になったときに、思わず吐き出してしまいました。

しかし本来は誰にも知られたくなかった感情。

恥ずかしさや弱いところを見られたくないという思いもあるのでしょう。

だから誰にも気づかれぬ内に、どこか遠くに消えていってほしいと後悔をしているのです。

あたしならできる

そして二つ目は、一つ目と逆で自分の感情をみんなに届けたいと考えているという解釈です。

何かマイナスな出来事が、主人公の身に起きていたのでしょう。

それに打ち勝つのだと、みんなに対して決意を表明しているのです。

歌詞だけを見れば他にも解釈ができるのかもしれません。

ですがこの歌詞を歌っている吉岡の声は非常に力強く、胸に迫るものがあります。

二つ目の解釈のようなプラスの意味で歌っていることは間違いないでしょう。

雲の向こうへ

決意を立てる中で主人公は何かを掴みかけたと、二行目では表現しています。

「雲を掴む」という慣用句があるように、雲ははっきりしない何かを表すときにも使用する言葉です。

今まではそんな雲を掴むような日々を送っていたのでしょう。

主人公の視界が少しずつ開けてきます。

挫折の過去

日々の脆さに半ば諦めかけていたのは 浮ついたあたしの心で
何かに掴まるあたしの弱さはもうたくさん 飾らない強さを纏うわ

出典: タユムコトナキナガレノナカデ/作詞:山下穂尊 作曲:山下穂尊

冒頭で感情を叫ぶに至るまでの、主人公の過去が明かされていきます。

マイナスな出来事とは、挫折だったようです。

「どうしてあたしが…」と、周囲にぶつけてしまったこともあったのかもしれません。

誰かに頼ってばかりいるのに、誰かのせいにしたり、見栄を張ったり。

しかし挫折をしてしまったのは他でもない自分自身のせいなのだと主人公は気づくのです。

矢印を他者から自分自身に向けることができるようになった今。

誰かの手を借りるのではなく、自分の足で立ち上がろうと、再起を図ります。