David Bowie【Diamond Dogs】アルバム全曲解説!ボウイの心情を投影する楽曲とはの画像

あまりひねりはありませんが普通にきれいなメロディーでミュージカルでも映えそうです。

Rockによって救われた人生を歌っています。

信じられるものがない世界で信じられるものはRockだけだと、傷ついた心をさらけ出しているようです。

「We Are The Dead」(死者の世界)

スローテンポのムードたっぷりな曲でボウイの声にとても似合っていますね。

僕達は「生きながら死んでいるようなものだ」という悲観的な内容です。

未来は子供達に託すようですが朽ち果てた後の静寂感のようなものがあります。 

「1984」

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この曲はちょっと面白いです。

曲調は軽快で日本人は嫌いではないと思います。

1984」というぐらいですから小説をイメージして書かれた主題歌のようなものでしょうか。

最初UFOが飛んでるような音がして、サビの部分の「1984」のところが邦楽のようです。

最後はまたUFOが飛んで行く…ように聞こえます。

内容は1984年の近未来に希望が持てず1965年に戻りたいという話です。

ひとことでいえば失望感でしょう。 

「Big Brother」(支配者)

この曲のタイトルは「1984」の小説に出てくる「支配者」のことです。

ただ、この「支配者」による監視社会を批判しているのではなくもっと違った救済者を求めています。

僕はこの世界を救うために何をしたらいいのだろうと語りかけていますね。 

そして本心ではその救済者(支配者)にボウイ自身がなりたいのでは?と捉えられるでしょう。

このアルバムの物語としてはネックになる曲ではないでしょうか。 

「Chant of the Ever Circling Skeletal Family」(永遠に回り続ける骸骨一族の歌)

この曲のタイトルはとってもキッチュ(俗悪)です。

骸骨のカラカラという音や歩く音、クルクル回る音が聞こえてくるようでとてもクールです。

聞いていて楽しくなります。

内容は死体ですらない骸骨になって同じ姿で同じことをし続ける奴らの歌といったところでしょうか。

一見滑稽な感じもしますね。

ですが東洋の文化にも詳しいボウイなので生死感として輪廻(りんね)のことを意味していると思います。

輪廻は仏教用語で同じところをくるくる回り続けることで苦しみから逃れられないという意味もあります。

アルバムの曲はこれで全部ですが小説の「1984年」の内容が気になるところです。

小説「1984年」の内容とは

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ジョージ・オーウェルのSF小説「1984年」イギリス人がもっとも読んでいる小説といわれています。

その内容はというと、近未来のある都市、絶対的独裁者であった「Big Brother」 は完璧な管理社会を作りあげていました。

そしてその中で、ある反乱分子が不穏な活動を始めるのですが…。

ひどい拷問や徹底した監視システムなどに負けて結局は弱い者は犬死するだけだというお話です。

全くの不条理な世界が描かれています。

この救いのない物語をテーマにして楽曲はつくられました。

もちろんミュージカルの構想ありきの話です。

ミュージカルに関してはフィリッツ・ラング監督の映画「メトロポリタン」に影響を受けているとされています。

人間がロボットのように働く近未来を皮肉った古典的な映画です。

David Bowieは何故この小説に惹かれたのか

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David Bowieが自身を投影させたかったは「Big Brother」にほかなりません。

彼が思い描く理想の世界は「Big Brother」のような最強のリーダーによる、美しく統制のとれた世界です。

その世界が「1984年」の中にあったからではないでしょうか。

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