ありきたりが特別だった
絞り出した「愛しい」
頭の中引っ掻き回して
やっと見つけた言葉は
サビにしてはちょっと地味で歌えなかった
引き出しの中引っ掻き回して
やっと見つけた言葉は
手紙にしてはちょっと地味で何気ない2人の
その距離が愛しい
出典: ABCDC/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
Cメロ(サビ)になりました。
歌にしようと頑張って頭から絞り出すも、やっぱりいい言葉が思いつかない。
歌詞だけ見ると、何だかもどかしく感じてしまいますね。
ところが歌唱はすごく迫力があって心がこもっているのです。
真っすぐで、張り裂けそうで、喉の奥が僅かに詰まるようで…。
言葉に出さずとも気持ちがじんわりと伝わってきます。
そうして、考えに考えて出てきた「愛しい」という言葉。
確かにありきたりな表現ではありますが、とても「重み」を感じます。
「手紙」という言葉が出てきたため、「君」とは遠距離恋愛をしていることも想像できますね。
派手な恋愛ではなくても、このもどかしい距離感がたまらなく好きなのでしょう。
皮肉に客観視する
音階並べてわかってる様な顔して
それをメロディーとか呼んじゃって
退屈並べてわかってる様な顔して
日常を切り取ったとか思っちゃって
出典: ABCDC/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
ここでDメロに入りました。
先ほどは「愛しい」という言葉を絞り出したのですが、逆に皮肉な表現に切り替わってしまいましたね。
恥ずかしさや照れが隠されているのでしょうか?
だとしたら、とてもほっこりとします。
作曲している自分を客観視して、「自分は何やってんの」といわんばかりに皮肉を並べて…。
カッコつけて歌いきらないあたりに、尾崎世界観の人柄が垣間見える気がします。
「君」のために買おうとしているのは?
指3本分位の労働して サビ3回分位の感動を
買いに行く
出典: ABCDC/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
Dメロの後半になりました。
ここで登場する「3」という数字。
婚約指輪は給料の3か月分の値段を…という言葉を聞いたことがありませんか?
そこから由来しているのではないかと思いました。
「君」に指輪を買うために頑張って働く。
そんな姿を想像すると、聴いているだけで心がポカポカと温かくなってしまいますね。
確かにありきたりな一場面なのかもしれません。
でもこの歌を聴いて、「愛情」がこもっていればありきたりも特別も関係ない気がしました。
むしろこの等身大の飾らない表現が心を揺さぶります。
ありふれたことが愛おしい
頭の中引っ掻き回して
やっと見つけた言葉は
サビにしてはちょっと地味で歌えなかった
引き出しの中引っ掻き回して
やっと見つけた言葉は
手紙にしてはちょっと地味で
何気ない貴方のその文字が愛しかったんだ
その距離が愛しい
出典: ABCDC/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
最後のCメロ(サビ)となりました。
ここで絞り出された言葉もとても味わい深いです。
手紙の中に記された文字。
特別な内容でなくても、その一つ一つが自分にとっては大切だと歌っているのです。
好きな相手からもらうメッセージは、わずかであっても嬉しいもの。
相手からのLINEなどの連絡を待ちわびてしまう経験、誰しもあるのではないでしょうか?
それが手紙ともなると、筆跡などからも相手の存在感を感じられます。
自分に向けて書かれた文字。
それだけで幸福感を味わうことができるのでしょう。
「君」へ向ける愛情の深さがここからも感じ取れますね。
決してカッコつけて飾っている楽曲ではないのですが、感動的です。