リアルな日々が描写されます。夜中に過去の失敗がフラッシュバックするの、僕だけじゃなかったんか…。秋田ひろむはその時間に価値を見出していきます。
そしてサビへのつなぎのフレーズ、1番よりも力強くなっています。amazarashiは強い意志があったから、現在の地位を勝ち取ったのでしょうね。
過去を笑って、力に変える
あんたらしい 人生ってのは あんたらしい失敗の積み重ね
一つ一つ 積み上げては 僕等積み木で遊ぶ子供みたい
あんたらしく 転べばいい あんたらしく立ち上がればいい
他に何もいらねぇよ 他に何もいらねぇよ
はやく 涙拭けよ 笑い飛ばそう 僕らの過去
そうだろう 今辛いのは 戦ってるから 逃げないから
そんな あんたを 責めることができる奴なんてどこにも いないんだぜ
出典: あんたへ / 作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
過去の成功体験は、もちろん力になります。でもほとんどの人ってそんなに成功ばっかりしてるわけじゃないですよね?じゃあその過去の失敗は意味がなかったのか。そんなことはありません。
積み重ねてきた失敗を笑い飛ばして、それでも立ち上がってきたんだと誇りに思うべきなんです。そうしないと僕らは生きていけないんです。
「まえがき」amazarashi
青の時代
上手く逃げおおせたと思っても 夕暮れ時の影みたいに付きまとう
不確かさは自身の背丈をこえて もはや死神の類いだ
心ならずとも流れ流れて どうせ戻れなどはしないのだ
自身の弱さや不成功を顧みる 青の時代はとっくに過ぎたのだ
出典: まえがき/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「あんたへ」であった「人生の反省会」は、この曲では「青の時代」と表現されています。
青の時代 (ピカソ) (Picasso's Blue Period) - 元来の意味は、画家パブロ・ピカソの青春期の陰鬱な作風の通称。転じて、孤独で不安な青春時代を表す表現。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/青の時代
これは造語ではなくて、「孤独で不安な青春時代」を意味する言葉です。あの暗い青春時代は終わってとっくに社会に出たんだから、いじけてないで笑い飛ばそうぜ。「あんたへ」と主張が同じですね。
どうせ戻れないんだから「今の不確かさ」を乗り越えていこうと語る秋田ひろむの声。そこに「あんたへ」ほどの力強さはありません。彼の主張は2曲を通じて段々と強くなっていったのです。
ひぐらしの声が 遥か遥か遠く
風が吹けば飛ぶよな、惨めな決意だが
触れたくても触れられないもの 消したくても消せはしないもの
どっからどこまでが自分で どっからどこまでがあんたで
出典: まえがき/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
ここでは「自分」と「あんた」を同一視しています。過ぎ去った過去なんだと冷静に見ている「自分」と、思わず人生の反省会を開いてしまう「あんた」。その二つが組み合わさって秋田ひろむなのです。
段々と「あんた」が指すものが何なのかわかってきたようですね。過去を反省する自分を指す言葉のようです。
またその青春時代の終わりを、ひぐらしの声に例えるのも見事ですね。夏の終わりに鳴く蝉の声は、どこか物悲しく切なく、耳に残ります。
これからのあんた
懐かしい感傷と呼ぶには 煤けすぎた失敗達と
行こうか行かざるかにあえぐ これからのあんたへ捧ぐ
出典: まえがき/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「煤け過ぎた失敗」=「汚れつちまつた悲しみ」ですよね。この言い換えも「まえがき」と「あんたへ」をつないでいます。
そしてこの歌のラストで、「あんたへ」がいったい誰のための歌なのかが語られています。青春時代が終わったのに、その失敗を引きずる自分へ向けられた曲だったのです。
おわりに
「あんたへ」は自分を励まし、リスナーを励ます応援歌でした。今回は「あんた」が指すものがなんなのかを正確に追えたかと思います。
冒頭にストレートな応援歌と書きましたが、暗い世の中に希望を見つけていくようなamazarashiらしい曲ですよね。
秋田ひろむが歌詞に込めた意味は、頑張って読み解かないとわからないことが多いです。また一緒に読解していきましょうね。それでは。
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