鮮やかなほど際立つのは自分の心
風のささやき 耳障りだ
僕のことなんも知らないくせにふざけんな
ティファニーブルーの空の下
出典: 風のささやき/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
心地良いはずのそよ風にさえイラついてしまう彼女。
彼女自身が抱えているたくさんの悩みや不安に、全く関係ないように自由に吹く風が無性に心を抉ります。
「私はこんなに苦しんでいるのに、なぜ風はこんなに気持ち良く流れるのだろう」。
そしてさらに追い討ちをかけるように空の澄んだ青さが突き刺さります。
ただの青ではなく青の中でも鮮やかで綺麗な「ティファニーブルー」なのです。
自分の心情とは対照的に晴れ晴れしている空が自分の心の淀みをより一層際立たせます。
美しいものを見れば見るほど、自分の心が曇っていることを痛感してしまう苦しさが伝わってくるのです。
目の前にあるように見えるのに届かない
追い続けている馬鹿な夢
手に届きそうで届かないなあ
出典: 風のささやき/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
ずっと頭の中で描き続けて憧れていた彼女の夢。
頭の中で思い描くのは容易で、叶えるためのビジョンも簡単に思い浮かびます。
しかし理想と現実は想像以上に離れていることを痛感しているのです。
ティファニーブルー一色に染まっている空だって、一見すると近くに見えます。
ですが手を伸ばしても空を掴むことはできません。
まるで空のように夢も頭の中で思い描くことはできるのに、実際に叶えることはなかなかできないのです。
悩んだり、凹んだり、努力をしたり、軌道に乗ったり、それでも夢を手に入れることは難しいと伝わります。
ですが夢を叶えるということは簡単にできないからこそ憧れるもの。本当に叶えたいならやることは1つ。
いつかその鮮やかでキラキラした輝かしい夢を手に入れる時が来るまで、諦めずに頑張るしかないのです。
努力をしているのに掛けられる言葉
頑張れなんて言うなよクソが
死に物狂いで生きてんだ
そう簡単に言わないでおくれ
出典: 風のささやき/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
彼女は必死に努力をし続けています。
夢を本気で叶えたい彼女が努力をしていないはずがないのです。
しかし周りの人間は落ち込んでいる彼女に対してかける言葉は「もっと頑張って」のみ。
「私はこんなに頑張っている、何も知らないくせに易々とそんな言葉を口にしないで欲しい」。
彼女の強い憤りを感じます。そして憤りの裏に彼女の、切ない感情が垣間見えるのです。
どうしても叶わない夢。
追いかけても追いかけても、近づいているかすら分からない状況が自分自身を追い込みます。
夢を叶えることは自分の全身全霊をかけた戦いなのです。
彼女がいかに本気で夢と向き合い、そして努力をしてきたかがこの歌詞からは伝わってきました。
彼女の本音が込められている
僕の居場所はどこだい
出典: 風のささやき/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
最後の歌詞には彼女の本音が漏れています。
「夢を叶えることができない自分は何者で、何のために生きているのだろう」。
大きなプレッシャーと誰かにとって必要な存在になりたいという想いが感じ取れます。
縋るものなんてないけれど、何かに縋っていたい。
この問いかけも特定の誰かに向けて放たれたわけではないのでしょう。
ですがただ空に消えていくだけのこの問いかけを言葉にしないと自分を保てないのです。
彼女がいかに苦しい下積み時代を積んでいたのかが最後の歌詞から感じ取れました。
【風のささやき】歌詞意味解釈〜まとめ〜
当時の心情がたくさん詰まった歌詞
この楽曲は彼女が売れる前の心情を綴った1曲になっていました。
歌詞から伝わるのは、絶望の淵に立たされているかのような暗い心情。
夢を追いかけることは簡単なことではなく、たくさんの苦労や障壁が待ち受けているのです。
彼女も弱音を吐き出すこともありました。
しかし弱音を吐いたって良いのです。それを彼女自身が証明しています。
どれだけ苦しいことや辛いことがあってもそれはいつか自分の糧へと変わるのです。
この歌詞からは大きなステージに立ちたいと強く願う彼女の夢が叶うまでの軌跡と心情が読み解けました。