希望がある卒業ソング
きっとまた会える
一つ光が照らしたんだ
それは君が行く道
さよなら さよなら さよなら
でもさ いつかまた笑いあおうね
出典: 青春/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
サビの歌詞です。
少しだけ上気したような坂口有望の歌声が沁みます。
「君」の未来や将来を照らすひとすじのひかり。
いまは卒業を迎えてそれぞれの進路へ向かうとき。
一度はお別れの言葉を交わすときです。
それでも日々がめぐり、ときが成熟した瞬間にまたきっと会えるはず。
その頃にはまた屈託なく笑えたら嬉しいと「僕」は期待します。
卒業ソングですから永遠のお別れではないのです。
社会人になったり、進学したり、拓けた道はそれぞれでも、いずれ時期が落ち着いたら再会できるという希望。
坂口有望の「青春」には希望があります。
思春期の足早な成長
いっぱい話したことは
この場所で愚痴ばっかり 聞いてもらってごめんね
今ではそんな言葉もちっぽけに思えてくる
出典: 青春/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
2番の歌い出し、Aメロの歌詞です。
「僕」と「君」は放課後をたくさん一緒に過ごしたのでしょう。
話すことといえば学校生活や家庭生活の悩みや不満。
少し暗い話をしてしまって相手に申し訳ないと思う気持ちも伝えるのです。
でも、そんな悩みや不満が日々、成長する中でどこか小さな事柄に思えてくる。
身体もこころも急スピードで成長してゆくのが思春期の特徴です。
過ぎ去りし日の遠い思い出たち
女性の成長に追いつけない男性たち
なんでもかんでも過ぎ去ってから分かるの
いつしか君の影が遠くなっても
ぜったいぜったい忘れないから だからさ 僕を置いていかないで
出典: 青春/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
2番のBメロの歌詞です。
思春期は男性より女性の方が先に社会性を学んで成長していきます。
男性たちは女性たちの成長についてゆけず置き去りにされたような寂しさや焦りを味わうもの。
坂口有望は女性でありながら男性の心理もうまく描いています。
過ぎ去り日の遠い思い出の中に「君」の姿が儚く消え去る予感。
それでも「君」といたすべての時間を忘れないでいたいと願う「僕」の強い思いが歌われます。
卒業を機会に「君」に置いてゆかれるという不安に「僕」は怯えるのです。
いちばん明るい星が照らす
星には「等級」がある
一等星がこう言ったんだ
これは君の行く道
さよなら さよなら さよなら
でもさ いつかまた巡り会えるね
出典: 青春/作詞:坂口有望 作曲:坂口有望
星のひかりが「君」の卒業後の進路を照らしています。
星にはひかりの輝きに応じて「等級」があり、「君」を照らす星は一等星なのだと歌うのです。
「僕」にとってはそのひかりが眩しく見えます。
「君」の未来を照らすには充分なひかりです。
「僕」は卒業を機会に進路を違えることの哀しさをしっかりと感じながらも、いつの日か再会を願います。
卒業での男女のお別れは、喧嘩したり嫌いになったりして別れるような「さよなら」ではないです。
その点に希望があります。
卒業後の進路にひかりが溢れているなら、いつの日か幸せにめぐり会えるはずです。