出だしからとても不穏な内容ですね。
体の中に充満しているものは一体何なのでしょうか。
描写からすると、決してポジティブなものではないようです。
おそらく怒りや恨みといったドス黒いもの。
主人公は世の中全てを恨んでいるようなとても荒んだ精神状態なのが伺えます。
それはとても辛い状態で、かなりの苦痛なのではないでしょうか。
誰も助けてはくれないといった絶望的な境遇のようですが、そんな主人公にある出会いが訪れます。
いつか君に触って
焼けた皮膚を破るまで
滾る闇の音符に光があって
遠く声を確かめあって
濡れた指先で 撫でるように
いつか君に触って
出典: Dororo/作詞:後藤正文 作曲:山田貴洋、後藤正文
主人公の一人である百鬼丸は、目も見えず耳も聞こえない状態で生まれてきました。
いつもそばにいるどろろの存在も、その一部しか感じることができない…
しかし、彼ら二人にはそれを超越するような“絆”が存在しているのです。
体ではなく心で互いの存在を感じているとも言えるでしょう。
いつしか百鬼丸は、本当に相手に触れたいと思うようになったのかもしれません。
それがある種、百鬼丸にとって自分の体を取り戻そうとする原動力ともなっているのかも。
オープニング映像を見ると分かる通り、人間らしい表情を取り戻したのはどろろのおかげだということが分かります。
大切な存在は心の支えとなると同時に、自分を成長させてくれる貴重なものであるといえますね。
指先が濡れているのはもしかすると、涙をぬぐったからなのでしょうか。
それとも、妖怪たちの血で濡れているのでは…という禍々しい想像もできそうです。
幻想ダイナマイト
愛が欠乏している
人間の残骸 幻想ダイナマイト
愛の欠乏をなる真似
音は内緒 灰もないがずいぶん
入り込んでいる
出典: Dororo/作詞:後藤正文 作曲:山田貴洋、後藤正文
いつもの通りアジカンの後藤さんが得意とする漢字+和製英語というフレーズが登場します。
一番最初のフレーズは百鬼丸自身を表しているのでしょうか。
それとも、物語に登場する愚かな人間たちを表しているのでしょうか。
ここの歌詞はかなり断片的な内容なので、何を表しているのか伝わりづらい部分ではないでしょうか。
ただ単に語感の良さを優先させているとも考えられます。
人間としてまだ未熟な部分が目立つ百鬼丸。
また、生まれ落ちた際に親の愛からも見放されているという過酷な境遇です。
そんな彼は「愛」というもの自体がよくわからないのかもしれませんね。
そのことを抽象的に表した歌詞に著者には思えました。
いつか五感を取り戻したら
焼けた皮膚を破るまで
滾る闇の音符に光があって
遠く声を確かめあって
濡れた指先で 撫でるように
いつか君に触って 見せるよ
出典: Dororo/作詞:後藤正文 作曲:山田貴洋、後藤正文
1番の歌詞とは何も変わらないように見えますよね。
しかし、一番最後のフレーズは一番の歌詞にはなかった部分です。
百鬼丸は五感を取り戻した後、オープニング映像のようにどろろに触れ、呼びかけているのかもしれません。
いったい彼はどろろに何を見せたいのでしょうか。
それまで自分の内にしか意識が向いていなかった彼が、どろろと出会ったことで他者へ関心を示すようになったとも受け取れる終わり方です。
最後に
『どろろ』の主人公百鬼丸の気持ちを歌った曲
『Dororo』は文字通り百鬼丸が相棒であるどろろに対して思う気持ちを歌った曲でした。
この記事は歌詞を独自に解釈したものとなり、歌詞を書いた後藤さんが伝えたかったことと違っている可能性もあります。
しかし少なくとも『どろろ』という作品に影響された内容となっていることは確かだと思います。
美麗なオープニング映像やちょっと不気味なMVなどと併せて、改めて聴いてみてください。
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『どろろ』1期目のオープニングテーマだった『火炎(FIRE)』についての記事です。
女王蜂のアヴちゃんにはこの曲に特別な思い入れがあるのだとか。
記事の中で詳しくご紹介していますので、読んでみてくださいね。