早く帰りたいのはどこへ?
夢の中は今日何曜日の何時なの?
ずっと住み慣れた部屋の中なのに早く帰りたい
出典: 白春夢/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
生きがいもなく、やりたいこともできず、ただ漫然と日々を過ごしている主人公。
この日々が夢だったなら……。
早く目覚めて元の世界に帰りたい、と強く思ってしまいます。
1日が数分にも、そして数日にも感じるほど、時間の進み方がバラバラに感じられる毎日。
終わりが来るかもわからない空虚な生活は、人々の生きる希望さえも奪ってしまいます。
いつもの部屋も、まるで別の部屋のように安らげません。
今生きているはずの自分も、どこか違う人間のような気すらしてきます。
ホームレスみたいな体と心
楽しいことなど何1つない
茶髪も髭も伸びきっていた
憂鬱と言われるならそうだった
ステイホームでホームレスみたいだって
友達が指差してわらっていた
出典: 白春夢/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
憂鬱など感じることのなかった生活から一変、主人公を包んだ闇のような毎日。
「ああ、きっとこれが憂鬱という感情なのだ」
初めてそう実感できたのは、この生活のおかげとも言えます。
誰かに会うこともなく、身だしなみも整えることを忘れ、ふと見た自分はまるでホームレスのよう。
そう笑う友達は、ステイホームにも関わらずきちんとした身なりをしています。
髪を整え、髭を剃る……そんな簡単な動作でさえ、億劫になっている自分に嫌気がさしてしまいます。
なかなか受け入れられない現実
不思議と会ってるみたいだった
リモートと言われるならそうだった
匂いのない花みたいだった
でも偽物もないよりマシと思った
出典: 白春夢/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
My Hair is Badにとって、音楽の出来ない日々はまさに「匂いのない花」のよう。
そしてそれは、音楽を愛する私たちにとっても同じことです。
ライブで彼らを見ることの出来なかった日々は、まるで自分が空っぽになってしまったかのようで……。
仕方がないことだと自分に言い聞かせるほどに、虚しさは募るばかりです。
画面越しに見るアーティストを見ていると、本当にそこにいるのか不安になってしまいます。
もしかすると彼らはいないのではないか、そんな感情が芽生えることもあるでしょう。
しかし、本物の彼らが見られなくても、いないよりはマシです。
過去に録音された音声でも、彼らを思い起こすには十分なのです。
My Hair is Badにとっても、それは同じこと。
目の前にファンがいないのは、本当にファンに音楽が届いているか不安になります。
同じ不安を抱えて、終わりのない日々を過ごしていくしかないのです。
どうしたらこの夢が覚めるだろうか
夢の中で今日も屋上に座って
今飛び降りたらこの夢から覚めるならそれも悪くない
出典: 白春夢/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
主人公にとっても私たちにとっても、早く終わってほしい自粛の毎日。
国民全員がしっかりと自粛することは、これほど難しいことなのかと痛感させられます。
しかし、長い間しっかりと自粛している人にとって、この生活は本当に苦しいもの。
ビルから飛び降りることで終わるならば、それでもいいと思わせるくらいのものなのです。