前置きが少し長くなってしまいましたが、これで「Désir」についてより理解してもらえるはずです。
では、いよいよ「Désir」の歌詞を見ていきましょう。
望んでも手に入らないもの
どんなに望んでも 叶わない幻想(あした)があると
目を閉じて それでも歩きつづけた
幾つ夜を重ねても消せなくて
光を求めてる
振り返る道にはもう戻れなくても
出典: Désir/作詞:MARiA 作曲:toku
1番の冒頭で描かれるのは、何かを望み続けてついにそれを叶えることのできなかった人物。
「幻想」と書いて「あした」という当て字をしています。
このことから、未来に対して夢のような「幻想」を抱いていたのだと考えられます。
明日にはきっと望みがかなうかもしれない。
しかしそんな未来は来ないのだと気づいてしまった。
それでも歩みを止めることができなくて、この人物は暗闇の中を歩き続けているのです。
振り返ってみると、そこには自分が今までたどった道が見えています。
しかしそこに戻ることはできません。
「あの時こうしていたら」という後悔を抱えているからこそ、今までの人生を振り返ってしまうのでしょう。
ここまで考えてみると、このパートで描かれている人物とはサーヴァントやマスターのことだと考えられます。
叶えたい願いがあっても、自力ではどうすることもできない。
だから大聖杯にすがり、願いを叶えるために戦いに身を投じる。
そんな「Fate/Apocrypha」の世界観を見事に表した歌詞ですよね。
叶えたい願いのために
世界は回る 奇跡を祈った瞬間に
他には何もいらない
ここにあるのは 「未来(願い)」 「希望(願い)」
届けたいよ
傷ついて 傷つけて 全てを失くしたとしても
叶わない 叶えたい 想いを握りしめて
出典: Désir/作詞:MARiA 作曲:toku
サビでは叶うはずのない「奇跡」を願った人々の想いが表現されています。
このパートでは「未来」や「希望」を「願い」と読んでいます。
どうしてこのような当て字をしているのかは、この記事の最後に考えてみることにしましょう。
たとえ失うものがあったとしても、たったひとつの「願い」が叶えばそれでいい。
この戦いにかけるマスターやサーヴァントの決意が、痛いほど伝わってきます。
選んだ先にあるものとは
どんなに叫んでも 変わらない現実(あした)もあると
背を向けた それでも離せなかった
何度星に嘆いても 遠すぎて
祈りも届かない
選んだ答えが 許されなくても
出典: Désir/作詞:MARiA 作曲:toku
2番でも、「あした」という当て字が使われています。
しかし1番とは違い、今度は「現実」を「あした」と読んでいます。
これは自分の目の前に突き付けられた、どうしようもない出来事を指しているのでしょう。
現実を悲観し、遠くに見える星に嘆いてみる。
それでも何も変わることはなくて、祈ったところで星には届かない。
そんな残酷な現実に気づきながらも、この人物は「答え」を選びます。
その「答え」は、きっと自分の「願い」を叶えるための手段なのでしょう。
もしかすると、「願い」を叶えるために他者の命を奪うような、許されないことなのかもしれません。
自分の意志で変えていく世界
世界は変わる 迷いを消した瞬間に
他には何もいらない
たった1つの 「自由(願い)」 [夢(願い)」
掴みたいよ
叶わない 叶えたい 誓いを胸に抱いて
出典: Désir/作詞:MARiA 作曲:toku
自分の「願い」を叶えると決意したマスターやサーヴァント。
そこに「迷い」はありません。
ある者は「自由」を、ある者は「夢」を手に入れようとします。
強い想いを抱いて戦うマスターやサーヴァントの姿が目に浮かびます。
物語が進むにつれ自分の意志を持つようになる主人公、ジークの姿とも重なりますね。
歌詞の中に作品名が!
曲調がガラッと変わり、たたみかけてくる言葉と音の数々。
GARNiDELiAらしさが表れたDメロにも注目です!