厳しい忍びの道を進む主人公
忍びであり人間でもある
忍びと言うと皆さんはどんなことを想像しますか?
暗闇に隠れて任務を遂行するプロフェッショナル…
どことなく感情が無く機械的なイメージもあるかもしれませんね。
己を捨てて主に尽くすと言った忠義の厚いイメージもあります。
まふまふさんが描くのはそういった忍びの表の部分ではなく、その内面です。
『忍びのすゝめ』は忍びの過酷な道について歌った曲。
今回はちょっと切なくも感じる同曲の歌詞を独自に考察してみました。
まずは幻想的なイラストで表現されたMVからご覧ください。
MVをチェック!
月灯りの下何を想うのか
![](https://img.youtube.com/vi/tASF0Vj_-QE/0.jpg)
冒頭から満月が徐々に欠けていく様子が映し出されます。
そして、走る忍びが登場し、 彼が三日月を見上げて思いを馳せている姿が。
何かを振り切るようにまた走り出しますが、脳裏にはある少女の姿が映し出されていました。
彼がまだ忍びになる前の回想のようなものもありましたね。
着物を着て廊下に佇んでいる姿はあどけなくも感じます。
その頬にはバーコードがあるというのに気づきましたか?
彼を任務のための道具として認識するために入れられたものだと思います。
「個」を捨てて、任務をこなしていると多くを犠牲にしなければなりません。
主人公は過去に大事な人々をも手にかけてきたのでしょうか。
心はすっかり閉ざされた状態になってしまい、割り切れたと自分で思っていたところに…
彼女に出会ってしまった
すっかり忍びになり切れていると主人公が思っていた矢先に、衝撃的な出来事が起こります。
それは自分に笑いかけてくれる少女との出会い…
すっかり彼女への恋に落ちてしまった主人公。
それまで無表情だった主人公の頬を涙が伝い、激しく感情を揺さぶられているようです。
片想いを自覚した彼は一人自問自答を始めました。
「これまでたくさん人を殺めてきた自分が、愛されたいと願う資格なんてない」
純真無垢そうな少女に自分は相応しくないと思っているのかもしれませんね。
少女も彼へ想いを寄せていたのでしょうか。
真相は分かりませんが、彼は少女に別れを告げ去ったようです。
彼女への想いを抱えながら、忍びは今日も闇夜に暗躍します。
親しい友の死など辛い出来事が日々、彼を襲う…忍びの道とは厳しいものですね。
MVの途中で白髪だったはずの主人公が黒髪になっているシーンがありますが、これは過去の彼を示しているのだと思います。
アニメのオープニング映像かと思うくらいクオリティが高く、物語性のある内容のMVでした。
さて、この後は歌詞について解説していきたいと思います!
MVとはどのようにリンクしているのでしょうか。
歌詞考察!
儚い人生
どれだけ歩めども 道はなく
彷徨うは千里先
それが人の世だと 笑う君だったんだ
然れど散りゆく定め
この一世を例えるなら
止まず 頻る 遣らずの雨
消える夜鳥に夢花火
出典: 忍びのすゝめ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
冒頭から片想い相手である「君」のことを想っている主人公。
過酷な人生の旅路を明るく笑い飛ばすような、朗らかな性格。
その姿は健気ですが、人の死をたくさん知っている主人公は、そんな彼女の前向きな考えに同調できません。
「頻(しき)る」とは「しきりに(盛んに)~する」という意味。
「遣(や)らずの雨」は「帰ろうとする人をひきとめるかのように降ってくる雨」のこと。
絶え間なく後悔ばかり生まれるような出来事が襲ってくる人生である…と言っているようです。
「夜鳥」とはトラツグミという鳥、もしくは別名「鵺(ぬえ)」と呼ばれることもある妖怪のこと。
この場合は前者の意味でしょう。
「夢花火」はまふまふさんが以前発表した曲名でもあります。
「彼女を失ってしまった男性」の曲なので、『忍びのすゝめ』と少し共通した部分が。
水面に映る月とは?
水面に映る月を求めて
悔やむことは もうやめた
忍び偲べ 心隠して 踊り踊る世界を回せ
鏡越しに隠していた ボクが泣きじゃくっている間に
出典: 忍びのすゝめ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
どうやっても手に入れられないものに焦がれていた過去。
「あの時こうしていれば手に入ったのかも」、もしくは「すでに手に入れていたのに手放してしまった」…
主人公はそんな後悔をし続けていたようですが、もはや諦めてしまったようです。
「偲(しの)ぶ」のは亡くなった仲間や自分が殺めた相手に対してでしょうか。
自分の感情を押し殺して、世界を変えるために影で暗躍。
厳しい仕事ではありますが、重要なものでもあります。
本当は心の奥底では辛く、悲しい気持ちでいっぱいですが「違う人間」として切り離すことで乗り切っている主人公。
想像できませんが、忍者ってかなりストレスが溜まりそうですよね。