少女は風変わりなまま

少女は風変わりなまま歌う
風変わりなまま歌ったんだ

出典: スタンダード/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh・Kensuke Kita

自分の歌を聴いてくれる人がいてもいなくても、少女は変わらず風変わりなまま。

少女の歌は老婆や少年たちに影響を与えました。

しかし、老婆や少年たちが少女に影響を与えることはないようです。

変化したのは少女の周りの人々だけ。

自分を取り巻く環境がいくら変わっても、少女は決して自分を変えません。

風変わりでもスタンダードでも関係ない

【スタンダード/ASIAN KUNG-FU GENERATION】歌詞解説!風変わりな少女とは?の画像

少女に賛同する人々と声をあげた聖職者

半年後の広場は賛同者で膨れあがった
中央ではスーツの聖職者が声をあげた

出典: スタンダード/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh・Kensuke Kita

少女が歌い始めて半年、広場は賛同者でいっぱいに。

最初は1人きりで歌っていた少女。

まずは老婆が理解者となり、次に少年たちが足を止め……。

やがて少女の歌は大勢の人の耳に届くことになりました。

これは少女の「小さな願い」がそれほどの影響力を持っていたということか。

あるいは、ただ単純に人が人を呼んだだけなのか。

少女の歌に大勢の人が耳を傾ける中、広場の中央で聖職者が声をあげます。

集まった人々は、それでも聖職者の声を無視して少女の歌を聴き続けるでしょうか?

それとも今度は聖職者の声に賛同し、少女のことなど忘れてしまうのでしょうか?

1番でも歌われていたように、変わっていくのは常に周囲の人々だけです。

標準を決めるのは世間や社会

小さな願いは今日 スタンダードだ
少女は風変わりなまま歌ったんだ
風変わりなまま そこに在ったんだ

出典: スタンダード/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh・Kensuke Kita

風変わりとスタンダード。

スタンダードとは”標準”という意味です。

つまり風変わりとは真逆の言葉。

少女が歌っている「小さな願い」はスタンダード。

けれど歌っている少女自身は、相変わらず風変わりなまま。

標準というのは、きっと世間や社会が決めるものなのでしょう。

風変わりと言われながら、1人で歌い始めた少女。

しかし賛同者が大勢集まれば、少女の歌はスタンダードになる。

少女自身は何も変わっていないのに……。

少女は変わっていく周囲の人々を見て、何を感じているのでしょう?

周囲が変わっても尚、自分のスタイルを貫き通す少女の姿は、社会への反発なのかもしれません。

最後まで少女だけが変わらなかった

ただ歌った
誰にも見向きもされないまま
後ろ指さえ差されなくても
やがて人々が忘れてしまっても
風変わりのまま ただ歌ったんだ

出典: スタンダード/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh・Kensuke Kita

曲の最後に歌われているのは、少女が辿ったその後の人生。

少女の歌が大勢の賛同者を呼んだのは、やはり一時的なものだったようです。

やがて少女は見向きもされなくなり、賛同の声も否定の声も掛けられなくなりました。

それでも少女は歌い続けます。

人々に忘れ去られた後も、少女の「小さな願い」はずっと歌われている。

そして少女はやはり風変わりなまま。

世間や社会からの評価など、少女には関係ありません。

風変わりでも、スタンダードでも、少女はただ歌い続ける。

少女はきっと最後まで自分を変えることはなかったのでしょう。

ずっと変わらないでいるということ

【スタンダード/ASIAN KUNG-FU GENERATION】歌詞解説!風変わりな少女とは?の画像

アジカンがこの曲で伝えたかったこと。

それは「周囲の声に惑わされるな」ということではないでしょうか?

世間や社会は常に変化し続けています。

変わっていくのが普通の世の中で、人は自分というものを保っていかなければならない。

自分の中にある確かなもの。

それは決して手放してはならないものです。

少女の強さ

【スタンダード/ASIAN KUNG-FU GENERATION】歌詞解説!風変わりな少女とは?の画像

風変わりな少女は、周囲がいくら変わってもずっと風変わりなままでした。

自分の歌が世間や社会から評価されても、少女がそれに惑わされることはない。

逆に世間や社会から見放されても、少女はいつでも自分というものを持っていました。

風変わりな少女が風変わりであり続けたこと。

これは”強さ”以外の何ものでもありません。

少女は周囲の声に流されないだけの強さを持っていた。

それを世間は風変わりと呼んだのかもしれません。

けれど社会が決めた常識、つまりスタンダードに染まらないというのはある種の勇気です。

周りの声なんてどうでもいいじゃないか。

自分らしく人生を生きること。

それは、世間や社会から褒めてもらうよりもずっと大切なことだから。

どれだけ周囲の環境が変わっても、貴方は貴方のままでいて。

この曲には、そんなメッセージが込められているように思います。