触れ合うと ⾔葉より
君のことを知れる気がした
その胸に⼝づけを
⼿のひらを握った⽇々の
その肌を
出典: 肌/作詞:星野源 作曲:星野源
このサビでは、肌と肌が触れ合うことで相手のことをわかった気がすると表現しています。
まるで糸電話(知らない人はゴメンナサイ)のように離れていても声が聞こえてくるような感覚でしょうか。
この曲は「肌」という1枚の膜を通じて人間関係の本質を投げかけているような気がします。
触れたいけれど触れないもどかしさや、絶妙な距離感など全て「肌」という一字で表現しているのがスゴイ!
「君」と一つになることはできないけれど、「肌」を通じて一体感を得ることはできるはずです。
例えば男性なら気になる女性にボディタッチをされたら「気があるかも!」と思う人もいるでしょう。
女性であれば彼氏から「好き」と言われても妙にソワソワした気持ちになった人もいるのではないでしょうか?
どんなにたくさんの言葉をかけられるよりギュッと抱きしめられるだけで「愛されている」と感じるでしょう。
時代が変わっても変わらない
このサビで口づけは生まれてから死ぬまで世代を超えてつながっていくことを歌っています。
お母さんから我が子、思春期のファーストキス、恋人同士から夫婦へと命をつないでいくといえるでしょう。
ここでは赤ちゃんがお母さんの母乳を飲むのも口づけとして括られます。
こうして敏感な部位のくちびるを通じて愛情を確かめ合うことは時代が変わっても変わりません。
スキンシップを通じて残っている思い出はいくつになっても覚えているという意味なのでしょう。
「肌」をさらけ出す時間
お湯の ⾬をかぶり
煙を昇らせながら 額を⾒せた
きつく 抱きしめても
⼆つしかなれないから
少しだけ ⻑く
出典: 肌/作詞:星野源 作曲:星野源
2人で一緒にお風呂に入っているシーンです。
この曲が使われているCMを意識しているのもあるかもしれません。
日本では江戸時代に庶民が楽しめる銭湯ができました。
当時、内風呂は上流階級の武士しか許されなかったといわれています。
それから時代は進み、戦後の高度成長期に風呂付の公団住宅が人気となりました。
親子で背中を流し合う姿が、「昭和の幸せの形」ともいえるのかもしれません。
親御さんであればお子さんから「今日から一人で入る」と言われるXデーにおびえているはずです。
それくらい文字通り「自分をさらけ出して接する時間」が入浴タイムといえるでしょう。
「君」を感じられる
どんなに「君」がこの世で一番好きでも二人で一人になることはできません。
漫画「ドラゴンボール」であれば可能ですが、実際の人間では不可能です。
でも一つになりたいくらい「君」のことが好きだから、いつまでも一緒につながっていたいのでしょう。
恋人であれば長い時間、相手の体温を感じていたいはずです。
親御さんであれば、いつまでもXデーが来ないことを願っていることでしょう(笑)
それくらいスキンシップを通じて「家族でいることの幸せ」を感じたいはずです。
そして恋人との甘い時間をいつまでも終わらせたくないと願うのでしょう。
「肌」にもっと触れたくなる理由
この「肌」という曲は、Aメロ→サビ→Aメロ→サビ→サビという構成になっています。
非常にシンプルなのに飽きのこない、むしろ中毒性のある1曲といえるのではないでしょうか?
中毒性と言うと語弊があるかもしれないので、毎日飲んでも飽きない味噌汁のような感覚かもしれません。
聴いた瞬間に雷に打たれたような衝撃を受けた曲はみなさんも持っているでしょう。
この「肌」は驚くような展開もなく淡々とメロディが流れていきます。
そして何度も聞いていると気づいたら病みつきになっていたという人も多いのではないでしょうか?
「何かよくわからないけれど好き」になってしまう曲といえるでしょう。
それは人の本能に訴えかけてくる歌詞やメロディーのせいかもしれません。
そして16ビートで構成されているため、曲のリズムも不規則です。
カラオケで歌うのは至難の業ですが『星野源』だからこそ歌える曲なのでしょう。
「肌」には触れれば触れるほどずっと触れていたくなる気持ち良さがあります。
こちらのMVもお楽しみください!
『星野源』がお母さん役を演じています。
ミュージック・ビデオの監督は関和亮、美術は吉田ユニ、プロデュースは星野源が担当した。2017年5月にNHKで放送された自身の冠特番『おげんさんといっしょ』の雰囲気が再現されており、星野が母親役、高畑充希が父親役、藤井隆と長岡亮介(ギター)が娘役、河村 "カースケ" 智康(ドラムス)が祖母役、小林創(ピアノ)が息子役を演じている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Family_Song
他の出演者はこのようになっています。
昭和を象徴する家庭にタイムスリップしたような感覚ではないでしょうか?
部屋一面や家具、電化製品がピンクなのも目を引きます。
これも肌の色や愛、母性をイメージしているのでしょう。
『星野源』がお母さん役というところでコメディとしてももちろん楽しめます(笑)
しかし時代風景を考えるとこういう考え方もできるのではないでしょうか?
第二次世界大戦前までは男性が働いてお金を稼ぎ、女性が家庭を守るのが主流でした。
その後1980年代後半から女性の社会進出が本格化し、共働き家庭が増えていきます。
すると家庭と育児を両立させるために、家事や育児に男性も積極的に参加するようになりました。
つまりこのMVはイクメンのように「母性的な男性」が活躍する時代になったという意味ではないでしょうか?