しっとりとした曲調が心に響く「たぶん」
静かな曲調と日常的な風景を描いているPVでYOASOBIらしさがでている「たぶん」。
曲の出だしにある生活音がよりリアルさを引き出しており、世界観にグッと引き寄せられる楽曲です。
YOASOBIは小説を元に曲を作っているので、どの楽曲も雰囲気がガラリと変わっています。
この曲はハマらなかったけど、あの曲は雰囲気がすごく好き。
というお気に入りの曲を見つけやすいのもYOASOBIの特徴の1つです。
「おかえり」の言葉は誰に向けたもの?
「たぶん」のサビ後半にはかならず「おかえり」という言葉が入っています。
しかし歌詞を全体的に見てみると、親しい人と一緒に過ごしていたけれど、別れてしまったような内容です。
一緒に住むことがなくなると、「おかえり」を言う必要はありません。
ではこの言葉は一体誰に向かって言っているのか。
やはり今はもう一緒に住んでいない相手に向かって言っているのでしょう。
相手がいなくても毎日言っていた言葉を思わず口に出してしまう。
それぐらい主人公にとって「おかえり」と相手に言うのが習慣になっていたのではないでしょうか。
相手はいないけど、無意識につぶやいてしまう。
それぐらい主人公にとって相手の存在は大きかったという解釈ができます。
笑ってしまった理由は?
「おかえり」
届かず零れた言葉に
笑った
少し冷えた朝だ
出典: たぶん/作詞:Ayase 作曲:Ayase
上記の歌詞はラストサビの一部になります。
どうして最後に笑っているのでしょうか。
1つの解釈として離れてしまった相手が帰ってきたというパターンがあります。
相手が朝方にボソッと「ただいま」と帰ってきたので普段通りの返事をした。
ひょっとしたら何か些細なケンカでもして相手が家を飛び出たのかも、という考え方もできます。
もう1つは主人公の気持ちが少し吹っ切れた、という解釈です。
歌詞2行目の言葉からもこちらの方が自然な解釈のように感じます。
別れる運命だったのだとどこか心の整理がついたものの、習慣になってしまった言葉が思わず出てしまう。
相手の存在が思っている以上に沁みついているのだと実感し、自嘲気味に笑みがこぼれているのかもしれません。
「たぶん」の歌詞解釈
突然の別れ
涙流すことすら無いまま
過ごした日々の痕一つも残さずに
さよならだ
出典: たぶん/作詞:Ayase 作曲:Ayase
今まで当たり前のように過ごしてきた2人。
しかし、ある時に相手から突然別れを切り出されてしまいます。
歌詞の1行目から本当に突然で驚き過ぎて泣くことも忘れてしまった、という解釈ができます。
はたまた自分自身もどこかで別れるような予感を感じていたのかもしれません。
なんとなく別れる予感はしていたから泣くことはなかった。
歌詞の2行目からも別れることを知っていて、前から準備していたようなニュアンスが感じられます。
どちらの解釈にしろ別れることになって嬉しいと感じている様子ではありません。
どこか心にぽっかりと穴が開いてしまったような、そんな寂しさが漂っています。
君がいない違和感
一人で迎えた朝に
鳴り響く誰かの音
二人で過ごした部屋で
目を閉じたまま考えてた
出典: たぶん/作詞:Ayase 作曲:Ayase
一緒に過ごしていた人と別れてそんなに日は経っていない様子。
起きたら当たり前のようにいた人はもういません。
しんと静まり返っている部屋では、様々な音が耳に入ってきます。
アパートであればお隣さんの生活音が聞こえるでしょう。
学校が近ければ生徒の元気な声が聞こえるかもしれません。
今までそんな外の生活音に意識が向くことはありませんでした。
少し前まで、一緒に過ごしていた人の生活音で満たされていたからです。
相手の裸足で歩く音や食器を扱う音。
しかし今は相手の存在を知らせる音がないので、外の音がよく聴こえるようになったのでしょう。
そんな小さな日常の変化から主人公は、もう相手は同じ家にいないのだと実感します。