暗い話を聞きたいが 笑って聞いていいのかな
思いだして眠れずに 夜を明かした日のことも
出典: くせのうた/作詞:星野源 作曲:星野源
先ほど、大切な相手だからこそマイナスな話を聞きたいと思う、というお話をしました。
けれど、誰かのマイナスな話を聞き慣れている人なんてきっとあまりいないはず。
一緒に悲しみや辛さに寄り添うように、聞いてあげた方がいいのかな。
君自身がその辛さを乗り越えているのなら、あまり深刻に聞き過ぎない方がいいのかな。
君はどんなふうにその話を聞いてもらいたいのかと考えながら、話を聞いている光景が目に浮かびますね。
この情景からも、君を思いやる僕の優しさが読み取れるように思います。
悩み事や辛い経験は人によって千差万別。
しかし、その悩みで眠れずに朝を迎えた経験はきっと多くの人が持っていることでしょう。
このままずっと朝が来なければいいと思ったことや、暗闇の中で目が冴えていく感覚。
時間の流れが遅く感じたことや、人気のない街で自分だけが世界に取り残されたような感覚。
そんな風に感じた感覚は、きっと君とも共有できるはずなのです。
それでも僕の気持ちは言えないままで
同じような記憶がある 同じような日々を生きている
寂しいと叫ぶには 僕はあまりにくだらない
出典: くせのうた/作詞:星野源 作曲:星野源
辛い話や悲しい話を共有することで、同じ気持ちを分かち合った日もある。
君と一緒に過ごす中で、同じ経験を分かち合ったこともある。
けれどこの歌詞の中の僕は、君も僕に対して同じ気持ちだという自信がまだないのかもしれません。
君のマイナスな話は、いつだって聞いてあげたいと思っています。
ですが自分自身の「寂しい」という言葉を、君に届ける勇気はまだないようです。
自分を過剰に謙遜する言葉から、もしかしたらそもそも自分の存在そのものに自信がないのかもしれません。
日々の中に見つける小さな幸せ
毎日はただ過ぎ去ってゆく
悪いことは重なるなあ 苦しい日々は続くのだ
赤い夕日が照らすのは ビルと日々の陰だけさ
出典: くせのうた/作詞:星野源 作曲:星野源
僕にも、君とは違う日常の生活があります。
心優しい、けれど自分に自信の持てない、気の弱い所があるそんな僕。
彼の生活は、お世辞にも順風満帆なものとは言い難いのかもしれません。
日々いろんな人と関わる中でも、きっと人一倍いろんなことを考えてしまうのでしょう。
優しさが裏目に出ることもあれば、自分の不甲斐なさや不器用さが嫌になることもあるはずです。
一度躓いてしまうと、立ち直るのを待たずして、次々と失敗やトラブルが重なっていく。
歌の中の彼だけに限らず、こんな経験身に覚えがある、という方もきっといらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方には、きっとこの歌の彼が見る景色もおのずと目に浮かぶのではないかと思います。
真っ赤な夕焼けの中に、長く伸びた自分の影。
1日の終わりを告げるその夕暮れの光景は、どこか自分の心を切なくさせるのです。
本当に大切なものを見つけよう
覚えきれぬ言葉より 抱えきれぬ教科書より
知りたいと思うこと 謎を解くのだ夜明けまで
君の癖はなんですか?
出典: くせのうた/作詞:星野源 作曲:星野源
日常の暮らしの中では、多くの人々が忙しない日々に追われています。
仕事に向かう人、学校に向かう人。
今の自分に本当に必要なものなのかわからないまま、毎日たくさんの知識や業務に触れさせられます。
自分にとって、人間にとって、本当に必要なものってなんだろう。
自分が、本当に知りたいと思うものはなんだろう。
毎日の生活の中でほんの一瞬だけでも、そんなことを考える時間を持ちませんか。
大切な誰かのことだけを、ちょっとだけ想う時間を作ってみませんか。
自分の脚で帰路に着く時間、湯船に浸かる時間、歯磨きをする時間、布団の中で眠りにつくまでの時間。
自分自身や、自分が大切に想う誰かのことに、思いを馳せる時間。
見えているはずなのに見えなくなっているものや、今まで見えなかったもの。
それは例えるならば、いつも見ているはずの大切な人の「癖」のようなものです。
もしかしたら、そんな些細でありふれた幸せに満ちたものを見つけることができるかもしれません。
最後に
いかがでしたしょうか。
今回ご紹介した【くせのうた】は、大切な人を想う優しさに満ちた楽曲となっていましたね。
飾らない等身大の、人間らしい素朴な歌詞を乗せた歌。
これこそが、星野源が多くの人に愛され続けている一番の魅力なのではないかと思います。